こんにちは、画家の落合真由美です。
「フィキサチーフ」という画材はアートに
関わる人でない限り、聞きなれない言葉かも
しれません。
フィキサチーフは保存しているうちに色落ち
してしまうパステル画やデッサンを描いた
状態のままきれいに保存できる便利アイテム
です。アートを学ぶ方でなくても趣味で絵を
楽しむ方、お子様の描いた絵をきれいに保存
したい方などにもぜひ取り入れてほしい
アイテムです。
アートを志す方にもフィキサチーフの役割や
種類について改めて確認できる内容になって
いますのでぜひご覧ください。
今回は「フィキサチーフ」の種類や選び方、
使い方について分かりやすく解説して
いきます。
目次
フィキサチーフは必要?

そもそも絵の具は色材である顔料と
糊材であるメディウムによってできています。
顔料だけでは紙や画布には定着できません。
メディウムと混ぜることによって顔料の粒子
がコーティングされ画面に固着できるように
なっています。この糊材であるメディウムの
おかげで画材がしっかり定着し、乾けば
触っても剝がれないようになります。
しかし、顔料だけでできていて糊成分が
入っていない画材がいくつかあります。

パステル

木炭

鉛筆
これらの粉っぽい画材です。
これらはどこでも描けて準備や後片付けの
手間がいらないので気軽に描きやすい画材
ですよね。暈し表現もしやすいのでリアルな
描写をしたり表情を楽しむこともできます。
しかし、これらの糊成分が入っていない画材
はこすれると描いた部分がかすれて汚れて
しまいます。
そのため完成後に糊付けが必要なのです。
糊付けすることで糊の膜ができて画材が
画用紙にしっかり定着するので作品をきれい
に保存することができます。
作品の汚れも防いでくれるので安心です。
この糊付けのために使うのが
「フィキサチーフ」です。
パステル、鉛筆、木炭以外にも
コンテやガッシュの保護にも使えます。
フィキサチーフとは?

フィキサチーフとは作品が完成したときに
吹きかけるスプレー式の絵の具の糊材
のことです。
フィキサチーフは
ラテン語の「fixare」(固定する)を語源とし
フランス語の「fixatif」から
英語の「fixative」へと発展し、
日本語では「定着剤」を意味します。
パステルや木炭、鉛筆などの粉状の画材が
画用紙から飛散しないように定着させる役目
を持っています。
フィキサチーフで一度定着させると消しゴム
等でこすっても消したり修正したり
できなくなりますので、
完成してから吹き付けましょう。
フィキサチーフの選び方

フィキサチーフは主に
エタノール系と石油系の2種類があります。
使用した画材に応じてどちらか選びます。
また今はスプレータイプが主流で
とても使いやすくなっています。
色々な容量のタイプが出ているので使う頻度
に応じて選びましょう。
大容量の入ったお得なものからあまり頻繁に
使用しない場合や持ち運びに便利な小型の
ハンディタイプもあります。
また固着力を強化したストロングタイプも
あります。フィキサチーフは画材店や
文房具店で購入することができます。
エタノール系と石油系について
それぞれ解説していきます。
エタノール系フィキサチーフ
フィキサチーフはアルコールで合成樹脂を
溶かしたものです。このため乾きが早いのが
特徴です。
鉛筆や木炭画には定着力の強いエタノール系
のフィキサチーフを使います。樹脂分が多く
しっかり定着するので黒の濃度を引き立たせ
て作品を保護します。
石油系フィキサチーフ
パステルにはパステル用の石油系の
フィキサチーフがあります。パステルは淡い
色調が魅力の画材ですが、エタノール系の
通常のフィキサチーフを吹きかけると色が
思いのほか濃くなってしまったり、
表面がテカテカしてしまうことがあります。
また通常のフィキサチーフのアルコール分が
パステルに含まれる染料を溶かしてしまう
ことがあります。
これらの現象を防ぐために少なめの樹脂分と
石油系の溶剤によってパステルの発色を
活かしながらにじみを押さえてくれる
パステル用のフィキサチーフを使うと
良いでしょう。
液体タイプのフィキサチーフの使い道
フィキサチーフはスプレータイプが一般的で
便利ですが瓶に入った液体タイプも
販売されています。こちらのタイプは霧吹き
にして使う必要があるので少し手間がかかり
ますが別の用途にも使えます。
液体を画面の一部分にそのまま垂らすことで
垂らした部分だけ画材を固着することが
できます。固着した部分を活かしながら
自分らしい描き方を模索できます。
フィキサチーフの使い方

フィキサチーフは身体に有害な合成樹脂を
使っているため、喚起のできる場所で
吸い込まないようにして吹き付けます。
霧状になって数メートル四方に飛散します
のでなるべく屋外に近い広い場所で
使用するのがおすすめです。
引火性があるので火気の近くでは
使用しないようにしましょう。

缶をよく振ってから
画面から30-40㎝程度離れた場所から
均等に薄く吹きかけていきます。
最初の一吹きは上手く霧状にならずに液だれ
してしまうこともあるので、
まずは他の画用紙などに試しに吹き付けて
みてから感覚を掴むと良いでしょう。
一度に大量にスプレーしすぎると
色がにじんでしまうので
少しずつ吹きかけましょう。
湿り気が揮発してから再度まんべんなく
吹きかけ、これを2,3回繰り返すと
漏れなく定着させることができます。
特に木炭は剥離しやすい画材なので
にじまないようにしながら、
しっかり念入りに何度も吹き付ける必要が
あります。大量に木炭を載せた部分には
比較的多めに吹き付けましょう。
吹き付けた後は
5分以上はしっかり乾かします。
画用紙を木製のパネルに水張りしたものは
パネルからはがす前にフィキサチーフを
吹きかけると良いです。
まとめ

フィキサチーフの必要性や種類、使い方
について解説してきました。
パステル、鉛筆、木炭画を描いた時は
フィキサチーフの使用は必須となります。
パステルを使用したときはパステル専用の
石油系フィキサチーフを使いましょう。
使い方で大事なことは
喚起できる場所でまんべんなく薄く複数回
吹きかけること、
木炭画には念入りに吹きかけること
が大切です。
フィキサチーフを使用してきれいに作品を
保存しましょう。使ったことのなかった方も
ぜひ取り入れてみてください。











