「買いがちだけど使わない画材」と「実は使える買って良かった意外な画材」

こんにちは、
画家の落合真由美です。

今回は画材についてのお話しです。
初めての油絵や初めてのデッサン、
まずは画材選びから始まりますが
何を買うべきか自分で判断するのって
なかなか難しいですよね。

とりあえず初心者向けの基本セットを
買ってみたりする方が
多いのではないでしょうか?

私も油絵を始める時は基本のセットを
購入しました。
ですが、
使っていくうちに実際には
あまり使わないものがあることに
気づきました。

また絶対に揃えるべき基本の画材以外にも
実はすごく使えるアイテムがあることにも
気づきました。

長年油絵やデッサンを経験してきた
私の目線で
「買いがちだけど使わない画材」
「実は使える買って良かった意外な画材」
についてそれぞれ解説していきます。

 

買いがちだけど使わない画材

よく初心者向けのスタートセットが
売られていますが、これは要注意です。
一見お得ですが
実はほとんど使わないものも
一緒に入っていることがあります。
本当に使うものをバラで購入することを
オススメします。

「買いがちだけど使わない画材」について
油絵編とデッサン編に分けて
解説していきます。

 

買いがちだけど使わない画材【油絵編】

 

木のパレット

私は最初の数回使っただけで
完全に使わなくなりました。
お手入れが大変なのと
木の色で絵の具の発色が見えづらい所
が難点です。
ペーパーパレットなら
汚れたらすぐめくって捨てられますし
白地なので発色の確認がしやすいです。

 

 

パレットナイフ

パレットで絵の具を混ぜたり
パレットの絵の具を削ぎ落として
掃除したりするためのものです。
紙パレットとペインティングナイフ
があればパレットナイフを使うことは
ないですね。

 

 

油壺

パレットの隅にクリップで挟んで
装着する容器のことですが
屋外に携帯するわけではない限り不便です。
画用液は濁ってきたらすぐ交換するか
その日のうちに使い切るのがベストなので
溶き皿のほうが使いやすくて
お手入れもしやすいです。

 

 

筆洗器

筆洗油を入れて筆を洗う器のことですが
使うたびに濁っていくので
洗剤を使った入念な二度洗いが
必須になります。
結局手間がかかるので
私は洗浄力に優れたクサカベの
「ブラシクリーナーデラックス」
を溶き皿にその都度出して
使い捨てしています。

 

 

木箱に入ったスタートセット

スタートセットには上記の
「実はあまり使わない画材」
がセットになっているので要注意です。
自分で必要なものをバラで購入した方が
良いかと思います。
画材は絵を経験していくうちに
どんどん増えていくので
もちろん木箱には収まりきらなくなります
ので木箱の使い道も
後々無くなるかもしれません。

 

 

高級な毛質の筆

コリンスキー毛などの
高級な筆がありますが
絵を始めたての段階では
あまり必要ないでしょう。
確かに穂先のまとまりが良く
しなやかで描きやすいのですが
まずは豚毛の筆があれば十分です。
筆をグレードアップすると
絵も上達する様な気がしてしまうのですが
実際にはそんなことはありません。
初めは油絵の具に慣れることで
精一杯なのでせっかく筆にお金をかけても
勿体無いことになってしまいます。
使用は上級者向けですね。

 

 

買いがちだけど使わない画材【デッサン編】

 

6Bや6Hなど極端な硬度の鉛筆

よく使うのは
3Hから3Bくらいまでですね。
スタートセットに
5B6Bや5H6Hが入っていたりしますが
発色が極端すぎて基本のデッサンでは
ほとんど使うことがないですね。

 

 

食パン

木炭デッサンの時に
消しゴムとして使うものですが
無くても大丈夫です。
空気に触れると乾燥して使えなくなるのと
消しクズの散らかり具合が私は苦手で
木炭デッサンを始めたての
数回使ったきりで使わなくなりました。

 

 

擦筆(サッピツ)

木炭デッサンで
調子をぼかす時に使いますが
ガーゼがあれば十分です。
多様しすぎると見方や作業が
細かくなりすぎてしまうのが注意点です。
使用は上級者向けです。

 

 

実は使える買って良かった意外な画材

今度は
「絶対に揃えるべき基本の画材以外にも
実はすごく使えるアイテム」
をご紹介していきます。

基本的な画材については
別の記事で解説していますので
こちらもご参考になさってください。

 

油絵で必要な基本の画材
についてはこちら↓

油絵の具の使い方と描き方、初めてでも簡単に描けるコツをやさしく解説

 

 

鉛筆デッサンで必要な基本の画材
についてはこちら↓

【初めての鉛筆画】必要な道具や鉛筆の上手な使い方を初心者でも分かりやすく解説します

 

 

木炭デッサンで必要な基本の画材
についてはこちら↓

木炭デッサンに必要な道具や進め方 | 初心者でも扱いやすくなるコツ

 

 

これからご紹介する
「実は使える買って良かった意外な画材」
は絵を始めたての初心者から
中級者以上まで使いやすいものです。
私もずっと愛用しています。

 

買って良かった意外な画材【油絵編】

 

 

紙パレット

発色の確認がしやすく
汚れたらすぐめくって変えられるところ
が便利です。
色々な大きさの紙パレット
が販売されています。

 

 

超速乾メディウム

クサカベから出ています。
油絵の具に混ぜると
乾燥時間を大きく短縮できます。
絵の具に透明感が増して柔らかくなり
扱いやすくなります。
混ぜすぎるとプラスチックのような質感に
変化するので注意が必要ですが
量を守れば絵の具にさほど影響なく
乾燥の効果をしっかり実感できます。

 

 

シッカチーフ

乾燥を促進する油絵の画用液です。
油絵の具に少量混ぜて使います。
油絵は乾燥時間との戦いなので
乾燥促進剤を上手く取り入れていくこと
がポイントになります。
「超速乾メディウム」は混ぜる量によって
早くて1時間弱で完全に乾いていきますが
それに比べるとシッカチーフは
穏やかな効き目です。
1日から数日かけて乾燥していくので
絵の具を伸ばしたり暈したりの
描画のしやすさがキープできます。

 

 

ファン(扇形の油彩筆)

扇形だと絵の具の含みが少ないので
絵の具を暈したり筆跡を消したり
グレージング
(透明な絵の具を薄くかけること)したり
と活躍します。

 

 

チューブ搾り器
油絵の具のチューブは色によって
硬くて出しづらかったりします。
また隅に残った絵の具を
無駄なく絞り出すのに必須アイテムです。
一度購入すれば何年もずっと使えます。

 

 

ブラシクリーナーデラックス

クサカベからでている筆洗液です。
洗浄力に優れていて
筆を保護するリンス剤も入っています。
しっかり絵の具が落とせるので
お手入れの時短になります。

 

 

キャンバス張器

木枠にキャンバス生地を自分で張ると
経済的なのですが
キャンバスの張器は
ホルベインから出ている
口幅12センチのアルミ合金製の
大きなタイプがオススメです。
少しの力で安定的にきれいに張ることが
できるので楽に作業できます。
私が習作を何枚もこなしていた
予備校生時代は
キャンバス張り器とロールキャンバスを
準備して、描き終わったら
木枠からキャンバス布を剥がし
木枠を使い回す形でキャンバス布を
張っていました。
10号や15号サイズ程度のキャンバスも
口幅12センチサイズの張器なら
手早く張ることができます。
勿論、大きなサイズのキャンバス張り
にも便利です。

 

 

買って良かった意外な画材【デッサン編】

 

鉛筆芯研器

カッターよりも気軽に手早く
鉛筆芯を研ぐことができます。
シャープな描き味を持続できるので
制作に集中できて便利です。

 

 

鉛筆補助軸

使って短くなった鉛筆に補助軸をつけて
長さを延長することができます。
短くなっても描きやすさが変わらず
鉛筆を無駄なく使えます。

 

 

木炭細軸・ミズキ炭

木炭デッサンはヤナギ炭などの
柔らかくてしっとりした木炭
を使って描き進めていきますが
仕上げ工程や細かい部分の描写に
このミズキ炭を使うと
木炭が画面にしっかり馴染んでくれ
クオリティーが上がります。
ミズキは硬くて細いので
シャープな線描や淡いトーン
を作りたい時にすごく使えます。
木炭がバサバサして
なかなか画面に馴染まない時は
ぜひ「ミズキ」で仕上げてみてください。

 

 

紙やすり

木炭や鉛筆芯を
シャープに尖らせたい時に使います。
カッターよりも手早くきれいに
研ぐことができます。
特に木炭デッサンの時は
木炭の切り口をフラットに削れるので
画面にムラなく調子をつけることが
できます。
木炭デッサンには必須アイテムですね。

 

 

腕鎮(ワンチン)

棒状になっていて
カルトンやキャンバスの縁に
滑りどめを引っ掛け、棒の部分に
筆を持った腕や手をのせて使います。
細部の描き込みの際に
腕や手が安定するので
画面に手が触れない様に気にすることなく
しっかり描画に集中できます。
画材屋さんで「腕鎮」という名目で
売っていますが
ホームセンターなどで売っている
木材の棒の先端に
目玉クリップを挟むだけで
簡単に作れます。

 

 

まとめ

今回は
「買いがちだけど使わない画材」と
「実は使える買って良かった意外な画材」
についてお話ししてきました。

初心者向けの道具紹介では
なかなか目にしない情報だと思います
のでぜひ参考にしてみてください。

これから道具を色々と揃えていくなら
画材屋さんで売られている
「スタートセット」の中身は
よく見て購入を決めましょう。

便利な画材によって制作に集中できたり
絵のクオリティーが上がったり
準備や後片付けがスムーズになったり
と絵を描く環境を上手く整えることが
できます。

上手に画材を活用していきましょう。

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