キュビズムと抽象画の違いとは
「対象を具象的に描いているかどうか」です。
この記事では、キュビズムと抽象画の
簡単な見分け方を作品例を交えて解説します。
違いが見分けられるようになると絵画鑑賞が
もっと楽しくなるかもしれません。
キュビズムと抽象画の違い

キュビズムと抽象画の違いは
具体的に何が描かれているのかが
少しでもわかるものがキュビズム、
何を描いたかより
色や形のリズムを表現したものが
抽象画である言えます。
キュビズムと抽象画は見た目は
似ていても制作意図が違うので
見るべき所を見れば
簡単に見分けることができます。
キュビズムは
色々な角度から対象を切り取っているので、
人物や静物の一部分がはっきり表れます。
キュビズムの作品に対峙すると
様々な視点から観察した
人物や静物のパーツが
ランダムに配置されているのが分かります。
抽象画は
色や形、線の強弱のみで構成されています。
人物や静物など何かを具体的に描いた痕跡は
なく、色の対比や形の配置のバランスを
味わうような構成になっています。
どこにも人物や静物など具体的に描いた部分
がないものが抽象画です。
抽象画は画家の感情や意図を想像したり、
色や形の見た目のキレイさを味わったりする
ものです。
キュビズムと抽象画を
作品例で見分ける
実際に作品を見て、
キュビズムか抽象画かを見分けていきます。
作品を鑑賞しながら
ポイントを押さえていきましょう。
ピカソ《ゲルニカ》1937年
ピカソのキュビズム作品です。
色々なモノがパズルのように配置されていて
抽象画に見えてしまう人も
いるかもしれません。
しかし画面の中をよく見ると、
人や馬、牛などのモチーフが表れます。
形は大きく崩され、複数の視点が
入り混じっていますが、
何が描いてあるのかがギリギリ分かる状態
です。こうした表現はキュビズムに分類され、
抽象画とは違います。
ピカソ《三人の音楽師》1921年
ピカソのキュビズム作品です。
幾何形体の集まりのようにも見えますが、
人物や楽器のシルエットが分かると思います。
何を描いているのかをたどることができる
のはキュビズムの特徴ですね。
人物や楽器を写実的に描いているわけ
ではないですが、分解して
平面的に組みなおす表現をしています。
これもキュビズムの特徴です。
抽象画はここからさらに進んで、
人物やモノの形そのものが
ほとんど分からなくなります。
ホアン・グリス 《ファントマ》1915年
ホアングリスのキュビズム作品です。
文字やモノの断片を組み合わせながら、
現実世界が別の見え方へと
再構成されています。
抽象的に見えやすい作品ですが、
形や文字の手がかりが残っているので
キュビズムらしい特徴がよく表れています。
ホアン・グリス《グラスと市松模様》1917年頃
ホアン・グリスのキュビズム作品です。
グラスや市松模様の形が細かい面に
分けられ再構成されています。
抽象画とみられがちですが
元になったモチーフをたどることができます。
対象を完全に手放した抽象画とは違います。
抽象画かどうか迷ったときは
作品タイトルを参考にしてみても
良いかもしれません。
作品タイトルが
具体的なモノを示しているなら、
それが描かれた断片があるか見てみましょう。
カンディンスキー
《第4回バウハウス版画集のためのリトグラフ》1922年
カンディンスキーの抽象画です。
線、円、点、面の関係そのものが画面の中心
になっています。
人物や静物の形はほとんど読み取れません。
キュビズム作品のように静物の断片をたどる
ことがむずかしく、対象そのものから
大きく離れている点が対照的です。
モンドリアン
《黄色、黒、青、赤、グレーのひし形コンポジション》
1921年
モンドリアン
《コンポジション第1番 グレーと赤》1935年
上記二作品はモンドリアンの抽象画です。
限られた線や面だけで画面を成り立たせた
抽象画です。
キュビズム作品のように現実のモチーフを
たどることができず、線や色そのものが
主役になっています。
キュビズムと抽象画の
初心者向けの見分け方

絵画初心者の方でも、
キュビズムと抽象画の違いが
見分けやすくなるポイントを
3つご紹介します。
鑑賞していて
キュビズムか抽象画かで迷ったら
以下のポイントを参考にしてみてください。
以下の3つが当てはまる作品は
キュビズムだと捉えることができます。
何を描いているのか少しでも解るか
人物、静物、楽器などの片鱗が見えるか
色や線だけの構成になっていないか
キュビズムと抽象画を混同しやすい理由

幾何形体のブロックをランダムに
重ねるように描く「キュビズム」と
呼ばれる表現。
20世紀初めに画家のピカソやブラックに
よって生み出されました。
キュビズムと言っても何を描いているのか
よくわからないので抽象画のようにも
見える方もいらっしゃるかもしれません。
キュビズムも抽象画も写実的な表現ではない
ので、どちらも同じカテゴリーのように
見えてしまうことがあります。
特にキュビズムの作品には幾何形体のような
形が出てくるので、抽象作品と混同しやすい
と言えます。
ですが、
キュビズムは対象そのものを幾何学的に
分解して描いていくので具象画です。
しっかり対象の姿かたちを具体的に
描いているというところがポイントです。
抽象画は対象そのものを描かないので
抽象画と呼ばれます。
キュビズムとは何か?

キュビズムとは
20世紀初めに画家のピカソとブラックに
よって生み出された表現です。
対象の形を分解して、
あらゆる角度から見た円や三角などに
置き換えて解釈しました。
対象を見た通りに描くのではなく、
画家の自由な解釈を描いたのが
キュビズムです。
遠近感がなく、混乱しやすいですが、
キュビズム作品をよく観てみると、
そのモノの特徴が分かる片鱗があります。
ピカソの「ゲルニカ」は
スペイン北部の町ゲルニカが爆撃されたこと
による戦争の悲劇が描かれていますが、
女性や戦士、馬などの形が見えるので
分かりやすいでしょう。
抽象画とは何か?

1910年頃から始まった表現で、
対象を描くことはせずに
形・色・線そのものをテーマにします。
それらをどう解釈するかは
鑑賞者にゆだねられます。
キュビズムは具象的に描いているのに対して
抽象画は人物や風景など具体的に描くことは
しません。
画家の主観や感情の表現がメインとなります。
抽象画の先駆者と言われているのが
画家ワシリー・カンディンスキーです。
カンディンスキーは具体的に
何が描いてあるか分からなくても、
光や色によって画家の内面を表現できると
考えました。
抽象作品では、
作品の見た目の面白さを鑑賞したり、
画家の意図を想像したり共鳴したりする
楽しみがあります。
まとめ

混同しやすいキュビズムと抽象画の見分け方
について解説してきました。
見分け方のポイントは
何を描いているのか読むことができるか
人物や静物や楽器などの名残が見えるか
色や線、形だけの構成になっていないか
この3つに当てはまるものはキュビズムだと
とらえることができます。
絵画のジャンルが見分けられるようになると
作品に、より没入して楽しめるように
なりますよ。



















