油絵の具の「白」の種類を解説|初心者でも分かりやすいそれぞれの特徴と使い方のポイント

こんにちは、画家の落合真由美です。

今回は油絵の具の中でも
たいていの人が一番使うであろう
絵の具の「白」についてのお話しです。
白と言っても様々な種類があり、
いざ選ぼうと思った時に迷ってしまったり、
いつも同じ種類の白を使ったりしがちです。

油絵の具の白は油絵を描き進めていくに
あたって欠かせない重要な色です。
白を選ぶ時のポイントや使い方
分かりやすく解説していきます。

白を使うことの効果

まず白はどんな工程で使うのでしょうか?
白は色を明るくしたり、色を淡くしたり、
色の明度や彩度を調整することができます。

また薄い白い層を上塗りして
形を描き起こしたり
ハイライトとして強めに白を置き、
立体感を出すのに効果的です。

 

白の使い方次第で様々な雰囲気の画面
にすることができます。
鮮やかな色や暗い色に白を混ぜ、
部分ごとに混ぜる分量を変えたりしながら
描写していくとニュアンスのある
繊細なトーンの画面を作ることができます。

 

白は色をぼかして柔らかく自然に見せる効果
もあります。
半乾きの絵の具の層に白で撫でるように
上塗りすると色が自然に混ざり合い、
複雑な色の表情が見えたり、
空間に溶け込むような茫漠とした質感
を作ることができます。

 

光が強く当たる面や稜線、ハイライトに
強めに白を使えばクリアでシャープな雰囲気
の画面を作ることができます。

 

油絵の具は乾くまでに時間がかかるので
半乾きの状態を利用して
白を上手く活用していきましょう。

 

白い油絵の具には

チタニウムホワイト

ジンクホワイト

シルバーホワイト

パーマネントホワイト

があります。

それぞれ特徴に合わせた使い方
を解説していきます。

 

チタニウムホワイト

チタニウムホワイトは
不透明で強く発色する白です。
少量でシャープで切れのある描写が
叶うので初心者でも簡単に
存在感ある描写がしやすくなります。
ただ隠ぺい力が強いので
他の絵の具の発色を妨げないよう
使いすぎに注意しましょう。

チタニウムホワイト【特徴】

やや黄色味のある白
不透明な白
発色が良い
少量でも明るくなる
隠蔽力が強い
混色しやすい(混色制限がない)
乾燥後の変色が少ない

チタニウムホワイト【向いている工程】

下塗りから上塗りまでの全工程で使える
明るい箇所ハイライトの描写
修正して描写したいとき
光と影を強調したハイコントラストな描写
シャープでキレのある表現
長期間の保存に向いている

 

ジンクホワイト

ジンクホワイトはやさしい発色を活かして
ほかの色と混色し繊細な画面
作っていくのに向いています。
中間色でじっくり描写したい終盤の作業に
オススメです。

ジンクホワイト【特徴】

乾燥後にやや青みがかった澄んだ白になる
透明感があり柔らかい発色
薄く透けるような質感
混色制限がない
混ぜた色の持ち味を損ねない
乾燥が遅い
耐久性が低く劣化しやすい

ジンクホワイト【向いている工程】

混色に向いている
淡く繊細なトーンを作りたい時
穏やかな雰囲気の画風にしたい時
冬の季節を描いた風景画
仕上げ時の重ね塗り
下塗りには不向き
(上の層に亀裂が生じる恐れがある)

 

シルバーホワイト

シルバーホワイトは
重厚で物質感のある白です。
描写に密度を持たせたい時や
抽象画などで凹凸のあるマチエール
作りたい時にオススメです。

シルバーホワイト【特徴】

古典的な白
乾燥すると温かみのある白になる
透明感があり淡いトーン
隠蔽力は低い
亀裂が生じにくい
重厚で物質感のあるマチエール
乾燥が早い
混色制限あり
→硫化物を成分とする顔料(ウルトラマリン
ブルー等)と混ぜると黒変する
強靭な塗膜を形成する

シルバーホワイト【向いている工程】

下塗りに向いている
(上の層の絵の具の定着が良くなる)
淡い色調の表現
柔らかい光の表現
密度のある表現

 

パーマネントホワイト

パーマネントホワイトは
幅広い表現に適応した初心者でも使いやすい
です。
混色して中間色を作ったり
明るい個所やハイライトを描いたり
いろいろな工程で使えます。
チタニウムホワイトほど強すぎないので
変に白が浮くことなく
自然に用いることができます

パーマネントホワイト【特徴】

温かみのあるやや黄色みがかった白
チタニウムホワイトよりも落ち着いた白
適度に不透明感がある
適度な隠ぺい力
混色制限がない

パーマネントホワイト【向いている工程】

明るい雰囲気の画面作り
下塗りでも上塗りでも使える
初心者も使いやすい

 

まとめ

油絵の具の白の種類とそれぞれの特徴の違い
について解説してきました。
描く工程別や目指す表現別に
使い分けてみましょう。
絵の具の種類を変えるだけで
意外と画風が変わったり
新しい方向性を見つけたりと
面白くなっていくものです。

今回ご紹介した中でもっとも
汎用性の高い白はパーマネントホワイトです。

パーマネントホワイトは
着色力・隠ぺい力・固着力・堅牢性において
平均的な力を持っていて
幅広い表現に対応することができますので
迷った時や初心者の方は一つ持っておくと
良いかもしれません。

色々試して自分らしく使える白を
見つけてみてください。

【初めての油絵】油絵の具でオススメの色 | この14色があれば大丈夫!

油絵の具の使い方と描き方、初めてでも簡単に描けるコツをやさしく解説