油絵の「地塗り」とは?地塗りに適した色の作り方、地塗りのやり方を分かりやすく丁寧に解説

こんにちは、画家の落合真由美です。
今回は油絵を描く時に一番はじめに行う工程
「地塗り」についてお話ししていきます。

「地塗り」とは
キャンバスにはじめに塗る一層目の絵の具
のことです。

キャンバスにモチーフを描き始める前に
この「地塗り」という準備をすることで
油絵は描き進めやすくなります。
なぜ地塗りは必要なのでしょうか?
地塗りすることでどんな効果があるの
でしょうか?
何色でどんなふうに塗ればいいの
でしょうか?
地塗りについての疑問を分かりやすく
丁寧に解説していきます。

油絵 地塗りは必要?!

なぜ地塗りが必要なのでしょうか?

油絵とは絵の具の層を重ねてできる
複雑な発色を表現していくものです。
地塗りをすることで二層目以降に塗る色を
引き立て、複雑で深みのある発色を生み出し
油絵の具の良さを引き立てることができます。

油絵キャンバスの表面を見てみると
凹凸がありますね。
この凹凸によって塗る絵の具が
絡みやすくなっています。
絵の具の層にはある程度の厚みが必要です。
絵の具が薄すぎるとキャンバスの凹凸に
負けて貧相な画面になってしまったり、
描写したものが引き立たない画面に
なってしまいます。
ですが一気に厚塗りすると塗りムラが
おきたり、乾きにくくなったりして
描写しづらくなる原因になります。
そこで地塗りをすることでベースを作り、
層を重ねて描写していくための下準備
します。

油絵 地塗りをするメリット

地塗りをすることでどんな効果が
あるのでしょか?

地塗りをするとキャンバスの目が埋まって
フラットになることで二層目に塗る絵の具の
ノリが良くなり色自体の発色が良くなります。
繊細な調子をつくったり細密な描画
しやすい状態です。

また薄い層を何層か重ねることで
色に複雑な表情をもたらします。
油絵の具の良さは透明感にあるので
その透明度を生かして下地の色を透けさせる
表現も油絵ならではです。

地塗り後の描写の段階では地塗りした中間色
をベースにして光が当たる明るい部分を
白を混ぜた色で描き起こし、
陰影のある部分は暗色で描き起こして
いきます。
地塗り色があることで色を重ねた時に
明部から暗部にかけての微妙な
グラデーションを作りやすく立体感
出やすくなります。
光と影を自然に魅せられるようになります。

陰影の描きやすさはモチーフの質感表現
豊かさにも繋がります。
質感の表現は光と影の描き分けによって
よりリアルに仕上がるからです。

絵を描くにあたって大事なことは
部分的な見方に陥らずに画面全体のバランス
を見ることです。
全体の陰影バランスを整えたり作品としての
雰囲気をまとめ上げるには地塗りをして
全体のトーンを作り込んでおくことが
大いに役立ちます。
地塗りをすることは画面全体のトーンを示す
ことであり、作品の方向性を決めることにも
繋がります。

地塗りをすることでキャンバスにしっかり
絵の具がのっている状態になるため
重厚感のある作品に仕上がります。

作風は人それぞれですが、
油絵の具は筆跡やナイフの跡を残したり
絵の具の厚みや表情を豊かに表現できる
ところも魅力のひとつです。

意図的に絵の具を塗らないことで、
その塗り残しの効果により下層との対比
の面白さを出すこともできます。

光が当たる明るい部分を塗り残しによって
表現することもあります。
滑らせるようなストロークなど
わずかな力加減で偶然できた塗り残しが
自然に見えたり、きれいに見えたり
絵の具の表情を使って豊かに表現することが
できます。

油絵 地塗りの色の決め方

地塗りは何色ですれば良いのでしょうか?

地塗りに適する色はモチーフや
目指す作品のイメージによって変わりますが
基本的に地塗りの色は中間色にすること
で明暗の調子を作りやすくなります。

木炭デッサンをする時と同じ感覚で
地塗りの中間色を基本に明部を明るい色で
暗部を暗い色で描いていくことで
立体的に描きやすくなります。

地塗りの中間色は混色して作っていきます。
白・赤・青・黄色系などをそれぞれ
混ぜてみて赤系の分量を多くするのか、
青系の分量を多くするのか、
黄色系の分量を多くするのか
できた色を見ながら調整していきます。
鮮やかな原色ではなく
くすんだ中間色にすることがポイントです。

中間色の中でも色の系統によって
与える印象や効果が違います。
色の系統ごとに解説していきます。

 

褐色系
深みや温かみ、ナチュラルな印象を与えます。
暖色系で描写したい時は赤みを強めに、
寒色系で描写したい時は青みを強めに
調整します。

 

グリーン系
原色に近いとインパクトが強く
その後の描写の邪魔になるので
色の鮮やかさや明るさの調整が大事です。
少しくすんだ発色にすると描き進めやすく
なります。
赤系や黄色系などのモチーフを描写したい時
に向いている色です。

 

グレー系
落ち着いた静寂な雰囲気の画面にしたい時
にオススメの色です。
静物画や人物画など室内でのモチーフの描写
はもちろん、色々なイメージの作品に
向いているので迷った時は
グレー系がオススメです。

 

赤系
暖かく明るい雰囲気の画面にしたい時に
オススメの色です。
肖像画や動物画などに合います。
暖色系の植物画や紅葉の景色、夕焼け空
などにも向いています。

 

それぞれ自分の描きたいものに合わせて
色を作ってみましょう。

絵の具は途中で足らなくならないように
多めに作っておくのがポイントです。

油絵の具の上手な選び方と使い方|透明色と不透明色の違いとは?初めてでも分かりやすく解説

油絵 地塗りのやり方

<地塗りで使う道具>

パレット

ナイフ

パレットナイフ
※なければペインティングナイフで十分代用
できます。

絵の具

オイル

シッカチーフ

速乾性メディウム

大きめの平筆や刷毛

扇型の筆

 

シッカチーフ速乾性メディウム
早く乾燥させたい時に使います。
速乾性のある絵の具もあります。

地塗りでは白を多く使いますが、
地塗りに向いている白系の絵の具は
シルバーホワイト
ファンデーションホワイトです。

シルバーホワイトは
地塗りに使用すると上層の絵の具の定着が
良くなり、亀裂も生じにくくなります。
重ねる色が明るく引き立つので
使いやすいです。
重厚で物質感があるのも特徴です。
地塗りだけでなく上塗りにも使えるので
便利です。

ファンデーションホワイトも
絵の具の定着を良くしたり、
上層に塗る絵の具の発色を引き立てたりする
地塗り用の絵の具です。

 

油絵の具の「白」の種類を解説|初心者でも分かりやすいそれぞれの特徴と使い方のポイント

キャンバスはそのまま絵の具を塗って
描けるようになっていますが
細密画など写実的に描きたい時に
キャンバスの表面をよりフラットにする
目的でジェッソと呼ばれる地塗り剤を塗り、
乾燥後にヤスリがけをしてから
油絵の具を塗っていく方法もあります。

筆に関しては
柔らかい毛質の筆は滑らかな描きこごちと
ストロークで塗ることができ、
筆跡が残りにくいのが特徴です。
硬い毛質の筆は絵の具がしっかり付き、
筆跡が残り物質感のある絵肌に仕上がるのが
特徴です。

地塗りをする際のよくある失敗例としては
厚く塗りすぎてしまうことです。
乾燥に何日も要することになります。
また絵の具の層にムラができて
描画しづらくなってしまいます。

絵の具の分量が均質になるように
一方向に均一な力で塗りましょう。
特に物質感のある絵肌を目指さない限りは
筆跡をあまり残さないように塗りムラを
なるべく抑えて塗ることが大事です。
地塗りをした後はしっかり乾かしましょう。

メディウムを加えると絵の具が柔らかくなり
扱いやすくなりますが使いすぎると
絵の具の質感を変えてしまうので
使う分量に注意しましょう。
絵の具の状態を見ながらメディウムまたは
オイルを使って絵の具を柔らかい質感にする
のがポイントです。

塗る際は筆でキャンバスの目を埋めるように
しっかり絵の具をキャンバスに馴染ませて
いきましょう。
ペインティングナイフで塗るだけのやり方
だと絵の具がキャンバスの目に入らないので
筆で刷り込むように仕上げることが大事です。

厚みにムラができないように仕上げに
扇型の筆で塗りムラをぼかすこともできます。
扇型の筆はなくても全く困りませんが
筆跡をぼかしたい時などにあると便利です。

刷毛や扇筆を使うときは縦横に塗って
絵の具の分量を均質にするようにします。

逆に絵の具を均質にせずに敢えてランダムな
絵の具の厚みやタッチで地塗りすることで
画面に複雑な表情を作ることもできます。

また、やっている方は少ないかもしれません
が地塗りの際にキャンバスの側面
塗るようにすると見栄えがよくなります。
額装すると隠れてしまう部分ですが、
一つの作品として側面もきれいに仕上げる
ことでより完成度が増し作品価値があがる
のでオススメです。

まとめ

油絵の地塗りについて解説してきました。

地塗りをするときのポイントを
まとめたものがこちらです。

✔️地塗りの色はくすんだ中間色にする

✔️絵の具は途中で足らなくならないように
多めに作る

✔️オイルやメディウムを使って絵の具
を塗りやすい柔らかさにする

✔️早く乾かしたい時は乾燥剤も使う

✔️塗る時は筆や刷毛でキャンバスにしっかり
馴染ませる

✔️一方向に均一な力でムラなく塗る

✔️地塗り後はしっかり乾かしてから描写する

地塗りをしておくことでその後の描写が
スムーズになり、より自分の目指す方向に
持っていきやすくなります。
効率よく地塗りをしてその後の描写を
楽しみましょう。

油絵の具の使い方と描き方、初めてでも簡単に描けるコツをやさしく解説