油絵の具を扱う時の注意点を詳しく解説 | 初心者がよくやってしまいがちなこと

こんにちは、画家の落合真由美です。

今回は

油絵の具を扱う時の注意点について

お話ししていきます。
油絵の具の扱いって慣れないと
難しいですよね。
油絵を始めて間もない頃に
わたしもよく間違った扱いをしてしまい
四苦八苦したものです。

油絵の具を使い慣れてなかったり
特徴をよく分かっていなかったりすると
ついやってしまう注意点を
まとめてみました。

 

油絵NG行為①汚れ対策をしない

油絵の具は服についたりすると
なかなか落ちないものです。
制作時は汚れても大丈夫な服装をしたり
環境を整えましょう。

 

油絵NG行為②臭い対策をしない

油絵は独特の臭いがあります。
無理して嗅ぎ続けると
頭痛の原因になったり
体調に支障をきたしてしまうので
換気に気をつけましょう。

油絵の臭いは
どうしても残りやすいので
寝室や生活をする部屋と
アトリエを兼用しないようにし
できれば絵を描く専用の
アトリエ部屋があるのが理想です。

独特の臭いは
テレピンやペトロールなどの揮発性油や
筆洗油が主な原因です。

臭いが苦手な方や
専用のアトリエ部屋がない場合は
無臭タイプの画材を選ぶ手もあります。

 

無臭の筆洗液
洗浄力は穏やかですが
気になる溶剤系の臭いがなく
有害性も低くなります。

 

オドレスペトロール
乾燥の進み方は穏やかで
溶解力はペトロールよりも劣りますが
石油の臭い成分を除去していますので
無臭です。

 

オドレスペインティングオイル
無臭のペトロールで調合してあるので
石油臭がなく
下描きから仕上げまで使えます。

 

水で描ける油絵の具「Duo(デュオ)」
水に溶ける油絵の具です。
水で柔らかくしたり
薄めたりして描けます。
溶剤を使わず水で描けるので
臭いの心配がいりません。
乾けば水にも油にも溶けない
堅牢な画面になります。

 

【初めての油絵】油絵で使う油のオススメ | 種類や使い方をやさしく解説します

 

油絵NG行為③蓋の開けっ放し

画用液は乾燥して固まる乾性油と
気化する揮発性油があります。

リンシードなどの乾性油は
蓋を閉め忘れると
空気に触れて固まってしまいます。

テレピンなどの揮発性油は
気化して量が減ってしまったり
無くなったりしてしまいます。
使ったらその都度
画用液の瓶の蓋をしっかり締めましょう。

 

油絵NG行為④テレピン使いすぎ

テレピンやペトロールなどの
揮発性の溶剤は制作の序盤で使うか
リンシードなどの乾性の溶き油に
混ぜて使うものです。
単独で使いすぎると
画面への絵の具の固着力を
弱めることになります。
テレピンを使うと
筆さばきがよくなって
描きやすくなるのですが
つい大量に使ってしまわないように
注意しましょう。
リンシードと混ぜて使うことによって
画面にしっかり絵の具が定着し
艶のある状態をつくれます。

 

油絵NG行為⑤乾燥剤使いすぎ

油絵の具は乾くのに時間がかかるので
シッカチーフや速乾メディウムなどの
乾燥促進剤を使うのが便利ですね。

しかし使用量を守らないと
絵の具の質が変わってしまいますので
注意が必要です。

 

ホワイトシッカチーフ
白色や淡色系の絵の具に混ぜて使います。
穏やかな乾燥促進作用ですが
多用すると黄変の原因となります。

 

ブラウンシッカチーフ
濃色の絵の具に混ぜて使います。
強力な乾燥促進効果がありますが
多用するとシワやヨリの原因となります。

 

速乾メディウム
油絵の具に混ぜて使うと
強力な乾燥促進効果があります。
多用しすぎるとプラスチックのような
テカテカした質感に変化します。
速乾メディウムを多量に使用した部分と
使用しない部分を比較すると
絵の具の質感がチグハグに見えるので
使用量に注意が必要です。

 

油絵NG行為⑥黄変対策をしない

リンシードオイルなどの
乾性の溶き油は絵の具の固着力を高め
艶も出してくれる役割を果たします。
気をつけたいのは時間が経つと
黄色く変色してしまうことです。

この黄変を抑えるためには
使いすぎないこと、
白色系の色で描くときは
ポピーオイルを使うことで対策できます。

また乾性油は光が不足すると
黄変する性質があります。
完成後に
暗室で保管しないようにしましょう。

もし作品が黄変してしまったら
直射日光にならないような
北窓から差す日光に晒しておくことで
漂白され
ある程度元の状態に戻すことができます。
このとき直射日光にならないようにする
のがポイントです。
変色や退色の原因となってしまいます。

 

リンシードオイル
亜麻の種子からできる乾性の油です。
ポピーオイルよりも乾きが早いですが
黄変しやすい面もあります。
強靭な塗膜ができるのが特徴です。

 

ポピーオイル
ケシの種子からできる乾性の油です。
リンシードより乾きは遅く、
塗膜の強さも劣りますが
黄変しにくいのが特徴です。
淡色の油なので
白色系の仕上げ描写に向いています。

 

油絵NG行為⑦筆洗油に浸しすぎ

筆洗油の容器に
筆をつけたままにしてしまうと
筆の穂先が変形してしまいます。
また毛の根元に残った
落としきれない絵の具の汚れが
固まったり金具の隙間に
筆洗油が浸透してしまうことで
金具のぐらつきに繋がったりします。

そして汚れた筆洗油につけた筆を
またすぐに描画に使ってしまうと
絵の具のカスが画面についてしまうこと
がありますし絵の具の固着力が
低下する恐れもあります。

筆洗油につけたらその後よく洗って
穂先の形を整えて寝かせるようにして
しっかり乾燥させましょう。

 

油絵NG行為⑧筆を洗わない

油絵の具は空気に触れると固まります。
制作後に筆を洗うのを忘れて
放置してしまうと
簡単には落とせなくなります。
無理やり落としても
筆を傷めてしまうことになりますので
使ったら必ずその日のうちに
洗うようにしましょう。

乾燥促進剤や速乾メディウムを使う場合は
数時間で硬化し始めてきますので
使用後に直ちに
筆洗液で洗う必要があります。

 

まとめ

油絵は様々な画材を使うので
最初は難しいかもしれませんが
徐々に慣れていくものです。

また画材を上手く使いこなせるように
試行錯誤することは
自分を成長させてくれるものでもあります。

油絵の具を扱うときの注意点は
以下のようなポイントです。

 

描く環境を整えること

画溶液を正しく使うこと

分量を守って乾燥促進剤を使うこと

道具のお手入れをすること

 

油絵を始めて間もない方も
あらかじめ注意点を頭に入れておくと
失敗も少なくなるかもしれません。

 

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