油絵を描くときの必須アイテム「ペインティングナイフ」の選び方と表現が豊かになる使い方

こんにちは、画家の落合真由美です。

今回は油絵の道具である
ペインティングナイフついてのお話しです。
ペインティングナイフとは
油絵の具を混ぜたりキャンバスにのせるとき
に使うコテ状の道具のことで
油絵を描くときには欠かせない道具の一つ
です。

ペインティングナイフの選び方や使い方次第
で様々な表情の作品に仕上ります。
ペインティングナイフで作られる
マチエールは筆以上に表情の幅があり、
重要な表現ツールの一つです。

ペインティングナイフの選び方のポイントや
効果的な使い方などを
分かりやすく解説していきます。

なぜペインティングナイフを使うの?

油絵の特性からペインティングナイフは
油絵を描くときには
なくてはならないものです。
それは油絵の具が可塑性
を持っているからです。

可塑性とは
自由に形を変えられる性質のことです。
油絵の具は乾くまで時間がかかるので
その間に
伸ばしたり暈したり
厚く盛り上げたり、
思うままに絵の具の形態を操ることが
できます。
油絵の具をいじっていて偶然混ざってできた
色や質感が面白く見えたり、
思っていたのとは違う表情が
偶然できたりするのが油絵の醍醐味です。

そこで活躍するのがペインティングナイフ
です。
ペインティングナイフを使いこなすことで
どんな表情が作れるのか
これから解説していきます。

 

パレットナイフとペインティングナイフ

まずナイフにはパレットナイフ
ペインティングナイフがあります。

パレットナイフとは?

平たく柔軟な刃をしており
パレット上で絵の具を混ぜるときに使います。
また木製パレットを使った後などに
残った絵の具をこそげ落として掃除すること
もできます。
ですがパレットナイフはなくても大丈夫です。
ペインティングナイフで
十分代用することができます。

ペインティングナイフとは?

ペインティングナイフは
キャンバスに絵の具を載せるときに使います。
ペインティングナイフには色々な形があり
選び方や使い方によって
特有のマチエールを作ることができます。

たとえば絵の具の濃淡を調節したり
刃先で線を描いたり筆と同じように
色々な表現ができます。
またパレットナイフ同様にパレット上で
絵の具を混ぜたりパレットを掃除したりと
幅広い用途があります。

ペインティングナイフ使用例

ペインティングナイフによって
画面に絵の具を押し付けると
絵の具に残る刃跡によって
筆では出せないエッジやマチエール
作ることができます。
ゴツゴツしたような独特の質感です。
ナイフの使用例を解説していきます。

 

先端で絵の具を押さえつけるように
キャンバスにのせる

 

先端につけた絵の具を伸ばしつける

 

フラットな面を使って平面的に塗る

 

平面的に塗った上から力を入れて
削り取るようにスライドさせる

 

平面に塗った上から先端で引っ掻くように
線描する

 

側面を利用して絵の具を置き線として見せる

 

ナイフの側面で絵の具を塗り広げる

 

面をやや傾けた状態で絵の具を置き
独特の凹凸を作る

 

かすれさせるように絵の具を塗る

 

絵の具を盛り上げる

絵を修正したいときにナイフで削り取る

絵の具の層を削ってニュアンスをだす

パレット状で混色するときにも使える

溶き油等を少量使いたいときにも使える
(小皿や画用液の瓶にナイフを浸して
少量移す)

 

ペインティングナイフの種類

ペインティングナイフは先端の刃の形状が
いろいろあって形状ごとにできることや
絵の仕上がりが変わってきます。

 

長くて細いもの

繰り返し押さえつけて作る

細かいテクスチャーを表現するとき

建物や草木などの自然風景で
直線的な描写をしたいとき

 

ひし形のもの

力を入れやすい

面を塗ったり線表現もしやすい

 

小さなナイフ

細かい線など細部の表現

部分的に絵の具を置きたいとき

 

大きなナイフ

大きな色面を作る

砂などを絵の具に混ぜて
テクスチャーのある表現をしたいとき

 

ペインティングナイフ選びのポイント

ペインティングナイフを購入するときは
以下のポイントを踏まえて選びましょう。

平らな面を押し付けたときに
反り返ったり浮き上がらず密着感があること

先端だけ押し付けたときに弾力性柔軟性
あり緩やかに曲がること

ブレード(刀部)と首部を接続したものより
一本の金属から鍛造されているものの方が
強度があり微妙な力加減が
正確に伝わり使いやすい

 

ペインティングナイフのお手入れ

使用後は絵の具が固まらないうちに
拭いてから保管しましょう。
また歯が折れたり歪まないように
ゆったりした空間にしまうことが大切です。
大切に扱うことで買い替えることなく末永く
使うことができます。

 

まとめ

ペインティングナイフによって
筆では出すことのできない様々なマチエール
を生み出すことができます。

筆での表現がマンネリになってしまったとき
や画面をリセットしたいときにも
ペインティングナイフを使ってみることは
効果的です。

ペインティングナイフで絵の具の層を
重ねることによってできるマチエールは
下層の絵の具の乾燥状態によって変わります。
下層の絵の具が乾いてない状態、
半乾きの状態、完全に乾いた状態
それぞれによって上層の絵の具の混ざり方も
変わりますよね。
塗り重ねるときはある程度乾いてから
行うことで絵の具が濁るのを
防ぐことができます。

描画以外のシーンでも
ペインティングナイフを使うシーンは
多々あります。
たとえばパレット上の絵の具を混色するとき
ですね。
混色する際は少しずつ絵の具を足して
様子を見ながら混色することがポイントです。
一度に多量の絵の具を混ぜすぎると
予想外の色になったときに絵の具が無駄に
なってしまうことがあるからです。

結構使う場面の多いペインティングナイフ、
丈夫で使いやすいものを選ぶことで末永く
愛用することができます。

油絵の具の使い方と描き方、初めてでも簡単に描けるコツをやさしく解説