油絵のキャンバスの選び方 | 初心者が上達するための上手なキャンバス選びのコツ

こんにちは、画家の落合真由美です。
今回は「油絵キャンバスの選び方」
についてお話ししていきます。
油絵で何を描くか決まったら
キャンバスの種類を決めることから
始まります。
キャンバスの種類によって作品の第一印象は
大きく変わってくるものです。

自分の描き方のペースや作風、制作時間
によって上手にキャンバスの形や
大きさを選ぶことで
自分らしい作品作りに繋がります。
そんな油絵キャンバスの選び方について
分かりやすく解説していきます。

 

油絵にふさわしいキャンバスの素材は?

キャンバスはフレームとなる木枠に
画布を張って作ります。
自分で画布を張ることもできますし、
既に画布が張られた状態の張りキャンバスも
販売されています。
使われる画布の素材には
麻・綿・化学繊維があります。

 


丈夫で経年劣化に強く、
少し高めのプライスです。
目の粗さに種類があり、
細密描写する場合、厚塗りする場合など
目的や画風によって
細目・中目・粗目の中から
選ぶことができます。
麻は油の酸化に強いので
油絵制作に向いています。

 

綿
麻に比べて繊維が細かく、
細密描写に向いています。
手頃なプライスなのも特徴です。
ですが、油の酸化には弱いので
油絵には向いておらず、アクリル画向きです。

 

化学繊維
糸が滑らかで使いやすいのが特徴です。
湿度による伸縮がなく、
しなやかさと耐久性があります。
低価格なのが魅力ですが、
アクリル画や水彩画向きです。

張りキャンバスとロールキャンバス

 

張りキャンバス
木枠に画布が張られた状態のものです。
自分で張る手間が省けるので
制作に集中できます。

ロールキャンバス
画布だけの状態で販売されています。
自分で画布を好きな大きさに切って
木枠へ張ります。
習作の場合は木枠を使い回して張ることで
経済的に制作できます。

キャンバスの規格は様々

キャンバスには大きさを示すため、
木枠の裏側に0から始まるサイズ表記
されています。
数字が大きいほどサイズが大きくなります。

またサイズ表記の頭についている
アルファベットによって
縦横のおおよその比率が分かります。

アルファベットはS・F・P・Mのいずれかが
表記されています

同じ号数では長辺の長さは同一で
S→F→P→Mの順に短辺が短くなっていきます。

S
正方形(Square)
安定感のある構図になるのが特徴です。
抽象画はもちろん、
規則性があるモチーフを描く時などに
適しています。

 

F
人物(Figure)
人物画、肖像画はもちろん、
静物画や風景画などあらゆるモチーフに
適応できる規格です。
長方形で描きやすいのが特徴です。
一般的に多く使われる規格で
額縁や画材もFを基準として作られている
と言われています。

 

P
風景(Paysage)
風景画や静物画など空間の広がりや奥行きを
表現しやすい規格です。
また人物の立ち姿など縦長を強調した構図
を取りたい時にも適しています。

 

M
海景(Marine)
地平線や水平線を用いた遠景の構図などに
適しています。
規格の中では一番短編が短いので
横長あるいは縦長を強調した構図に
向いています。

 

SM
サムホールと言う特殊な規格です。
1号と2号の間くらいの小さめサイズです。
抽象画や小さなモチーフを描きたい時など
にオススメです。

 

上手なキャンバス選びのポイント

 

正方形
抽象画を描いた時に映える規格ですが
正方形だからといって人物画や風景画に
向いてないということではありません。
正方形で人物画や風景画を描く人が
少ないからこそ斬新な構図が生まれたり
作品に鮮度が出てくることもあります。
人物の顔にフォーカスしたり、
座り姿を描くと映えたりします。
風景画も正方形で描くことで
独特の雰囲気になったりします。

 

長方形
長方形はやはり風景などの空間のの広がり
を表現できるので初心者でも扱いやすい
のが特徴です。
また人物画の立ち姿、横からの姿も
描きやすいです。
Fの規格のキャンバスを持っていれば
あらゆるモチーフを描くことができます。

 

小さなサイズ
SMサイズや0号サイズくらいの
小さなキャンバスは
静物画などの細かい描写に向いています。
小さな花や昆虫などを集中して描くには
ぴったりです。
また小さなスペースで描けるところも
魅力です。

 

中間サイズ
4号や6号くらいの中間サイズは
特に初心者が静物画や風景画を描くのに
おすすめのサイズです。
収納にも困らないサイズで
持ち運びもしやすいため、
しっかり描写ができる上に管理がしやすい
ところがメリットです。
キャンバスは小さければ小さいほど
気軽に描けるということでもなく、
4号や6号くらいのサイズだと
心地よく筆を動かすことができます。
小さすぎると細かく描く必要があるため
集中力を要し、初心者は描きづらさ
を感じるかもしれません。
描くのに慣れてきたら10号や15号を選ぶと
良いでしょう。作品に存在感が出てきます。

 

大きなサイズ
20号や30号くらいの大きなサイズは
迫力ある描写ができます。
展覧会に出品する様な存在感のある作品
を描きたい時に挑戦してみるのも
良いでしょう。
風景画や複数の人物画などの題材は
特に迫力が出ます。
サイズが大きい分、大きな筆と大量の絵の具
が必要になるだけでなく、
乾かすのにも時間かかります。
またサイズが大きいほど
制作には体力を使います。
また運搬や収納の問題も事前に考えておく
必要があり計画性が求められます。

まとめ

キャンバス選びのポイントについて
解説してきました。
キャンバスの規格はあくまで推奨なので
どの規格で描くかは最終的には自分次第です。
最初はFの規格の中間サイズで数をこなし
慣れてきたら違う規格で試してみるのも
楽しいでしょう。

展示スペースや保管場所、
制作時間などの環境面から選ぶことも
大事ですね。
飾る場合はまず壁や部屋の広さを
イメージすることも必要です。

キャンバスを選ぶ際に考慮するポイント
をまとめるとこうなります。

 

自分のレベルに合っているか?
目指す作品の雰囲気に合っているか?
描くモチーフの形に合っているか?
制作時間に見合った大きさか?
制作する場所に合った大きさか?
使う筆の大きさに合った大きさか?
持ち運びする場合、大きさは適切か?
保管場所や飾る場所を考えたか?

 

ぜひ参考にしてみてください。

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