【初めての油絵】油絵で使う油のオススメ | 種類や使い方をやさしく解説します

こんにちは、画家の落合です。

今回は油絵で使う油のお話です。
油絵の具を扱いやすくするために油を
使いますが油の選び方や扱い方によって
かえって絵をダメにしてしまうことも
あり、初めは難しいところです。
画材屋さんに行くとたくさん種類が
あり迷ってしまいますよね。
でも基本の知識があれば大丈夫!

何を選んだら良いか、

どんな風に使えば良いか

分かりやすく解説していきます。

油絵がもっと描きやすくなりますよ。

油絵の油は大きく分けて2種類ある

油絵を描くときに使う油を総称して
画溶液と呼びます。

数ある画溶液も
大きく分ければたったの2種類です。

それは
溶き油溶剤
の2種類です。

溶き油とは
油絵の具の色を薄めて筆さばきを滑らかに
するものです。
溶剤とは
絵の具のコシを弱めるものです。

画溶液を購入する際もこの2種類を揃えれば
大丈夫です。溶き油と溶剤にはそれぞれ
どんな種類があるのか後ほど解説していきます。

そもそもなぜ画溶液を使うの?

油絵の具自体が油で練ってあるので
画溶液を加えなくてもそのまま描ける性質
を持っています。では画溶液を使うことで
どう描きやすくなるのでしょう?

<画溶液を使うメリット>
・絵の具の伸びが良くなる
・薄塗りになることで乾燥時間の短縮になる
・透明感が高まる
・薄い層の塗り重ねにより美しい発色になる
・耐久性のある皮膜ができる

このように画溶液を使うことで油絵の長所
でもある柔軟性や透明性をより高めて制作する
ことができます

油絵を始めたての頃は
どうしても厚塗りになってしまう傾向があります。
すると乾燥が遅れる中で塗り重ねてしまい
筆さばきが悪くなったり色が濁ってしまったり
悪循環に陥ります。画溶液を正しく使うことが
油絵の上達にも繋がります。

溶き油の特徴や種類って?

<溶き油の特徴>
・油絵の具の色を薄めて筆さばきを滑らかにする
・乾燥して固まると美しい光沢を放つ
・絵の具のキャンバスへの固着力を高めてくれる

<溶き油は2種類>
①植物油
植物の実から採油した油で代表的なものが
リンシードオイルポピーオイルです。

 

リンシードオイル


亜麻の実から採油するので別名として
亜麻仁油と呼ばれています。
乾燥が早く固着力があり耐久性のある皮膜が
できます。ただ乾燥後に日数が経過すると
黄変することがあるので大量に使わないように
注意しましょう。

 

ポピーオイル


ケシの実から採油したものです。
リンシードに比べると透明に近く
ほとんど黄変の心配なく使えます。
ただリンシードに比べると乾燥が遅く
亀裂が起こりやすくなるのが難点です。

 

私のおすすめはリンシードオイルです。
耐久性のある皮膜形成ができるのが最大の
メリットですし、黄変しないように使用量に
注意しながら使用すれば心配いりません。

 

②調合油
植物油をベースに数種類の性質の油を混ぜて
一つの溶き油にしたものです。
ペインティングオイルという名前で
販売されています。

以下のものが調合されています。
・植物油(リンシードやポピーオイル)
・溶剤(テレピンやペトロール)
・樹脂‐薄い皮膜を作り艶を出す

溶剤についてはこの後解説していきます。

溶剤の特徴や種類って?

<溶剤の特徴>
・常温で気化するので皮膜が形成されない
→描画の際は単独で使わずに
必ず溶き油と混ぜるようにしましょう。
・絵の具のコシを弱めてトロトロにする
・筆さばきが軽くなる
・浸透力があり絵の具の密着を高める
・筆などについた絵の具の除去もできる

 

<溶剤の種類>


テレピン(松から得られる植物性の精油)
ペトロール(石油を精製した油)

私のおすすめはテレピンです。
テレピンのほうが比較的絵の具の固着を
促進する効果があり艶が出やすいです。

溶き油や溶剤はいつどうやって使うの?

①まず溶き油を用意
初めはペインティングオイル一本のみを
購入してしばらくそれだけで描いても
良いと思います。ペインティングオイルは
元々調合してある油なのでこれだけでも
十分使いやすいです。
慣れてきたら自分のさじ加減で調合して
使える様にリンシードにしていきましょう。
いずれにしても溶き油は大量に使わない
ことです。使いすぎると乾きにくくなったり
乾燥後に黄変する原因になります。
筆が湿る程度に絡ませ絵の具と混ぜて
描いていきましょう。

②溶剤(テレピン)を用意
ペインティングオイルでもリンシードでも
いずれにしても筆さばきを軽くしたいときは
溶き油にテレピンをほんの少量混ぜて
使いましょう。

③必要に応じて買い足し              

 

基本リンシードとテレピンがあれば油絵が描けます。

必要に応じてワニス乾燥剤
を買い足していっても良いと思います。
ワニスとは樹脂を画溶液に溶いたもので
画面の艶や透明性、絵の具の固着力を
高めてくれるものです。
乾燥剤はシッカチーフという名前で
販売されています。特に乾きの悪い絵の具
を使う場合のみ少量使うと乾燥の促進に
なります。ただ乾燥剤は大量に使うと
絵の具の剥離や縮みの原因になるので
使いすぎないように注意しましょう。

まとめ

ここまで画溶液の種類と使い方について
解説してきましたがいかがでしたか?
結局必要なのはリンシードとテレピン
の二種類だけなんです。

画材屋さんに行くと
つい色々使ってみたくなりますがまずは
基本の道具を使いこなすことが大事です。

油絵の醍醐味である絵の具の伸びで繊細な
タッチを楽しむこと、色の透明感を楽しむこと
を画溶液を補助にしながらやってみてください。

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