絵を細密に描き込むためのコツは?初心者の苦手要因や簡単に取り入れられる描き方を解説

 

こんにちは、画家の落合真由美です。
今回は「絵の細密な描き込み」
についてのお話です。

写実的に絵を描いていくときに
避けて通れない細部の描き込み。
細かく手を入れていくと
やはり手をかけた分だけ
絵のクオリティーが上がりますし
達成感も味わえます。

しかし、
細かく描くのが苦手な人もいますよね。
描き込みが進まず絵がなかなか完成しない、
細かく描いた部分がしっくりこない
など悩みは人それぞれです。

わたしは元々細かく描くのは好きでしたが、
絵全体のバランスを見ずに
いきなり細かく描いてしまって
よく不自然な絵にしてしまっていました。

ある一部分だけ集中して描くということは
視野がそこだけに集まっていることになる
ので当然全体のバランスを
失いやすくなります。

失敗なく細密に描き込んでいくには
どんなコツがいるのか
ぜひ参考にしてみてください。

 

細密に描くのが苦手な要因

まず細密に描くのが苦手だったり
場面によって
細密描写が上手くいかないことがある場合、
何が要因なのか考えてみます。

以下の要因を一つ一つ解決していき
自分が調子よく
集中して描き込んでいけるマインド
整えていきましょう。

 

集中していない

集中できない理由はいくつかあります。
環境的な問題なのか、
精神的な問題なのか、
振り返ってみましょう。
制作過程で何かしっくりこないことが
あればそこを払拭しないと
確信をもって描き込めなくなります。

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観察していない

意外とここができていないことは多いです。
上手く描くことにこだわってしまって、
なんとなく上手い雰囲気の絵を
目指していると対象をよく見ることよりも
どこかで見たことのある上手い描き方を
なぞることに意識が向いてしまうことが
あります。
まずはよく観察すること
大切にしましょう。
描く時間よりも観察する時間を
多く取るつもりでちょうど良いです。
何を観察するのかといえばやはり
形と全体の関係性です。
正確に形を捉えること、
モチーフの魅力となる部分や
描きたいと思うところをよく見ること、
どこが明るくてどこが暗いのか
全体の明暗の関係をよく見ることです。

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時間をかけていない

細密に集中して描くには
ある程度時間を描けないといけません。
形の土台ができてきたり
大まかな明暗の土台ができてきてから
でないと細密な描写の作業には
入れないからです。
細密な描写に集中して入っていくには
最低でも三時間から六時間以上は
かけないといけません。
根気強く画面に向かっていくと
集中して描けるようになります。

 

画材が合っていない

自分で何となく画材がしっくりこない
という問題もあります。
鉛筆なら描きやすいのに
油絵だと描きづらいなど
個人差がありますし、
製作時間によって適した画材も
変わってきたりしますね。
自分が調子よく描ける画材を選ぶのも
大事なことです。
画材の特性や扱い方を理解せず
使いこなしていない状態で
細密描写に挑戦しても描きづらいだけです。
例えば油絵だったら
描写を重ねていくにはある程度
乾くまで待たなければならないのに
乾いてない状態に手を加えても
筆がのっていかず濁ってしまい
上手くいかなくなります。
使い慣れた画材や描く環境に合わせた画材
を選ぶと良いでしょう。

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形が決まっていない

描き込む前に正確に形を捉えておかないと
描き進めてからやっぱり形の狂いが
気になって直さなければならないのは
大変です。
また形が狂っているのに
細かく描き進めていっても
不自然な佇まいになり
絵を進めづらくなります。

 

細密に描きやすくなる簡単なコツ

細密に描写していく前に準備しておくと
良いことを解説します。

 

何を描くか?が大事

細密な描写はやはり
集中して時間をかけてやることなので
自分の興味のあるモチーフ
得意なモチーフ
こんなふうに描きたいなどの
理想があるものをモチーフにすると
良いです。
たとえば私はモノの質感に反応して
カリカリ描いていくのが好きなタイプ
なので人物画より静物画、
工業製品のようなツルッとした質感のもの
よりも自然界の歪な形やザラザラした質感
のものが描きやすく感じます。
そういう手の癖は人それぞれあって
得意なモチーフ、苦手なモチーフ
というのは存在します。
自分が描きやすいものが
何となく分かっていると良いですね。
自分の手の癖に合ってるモノを描けば
想像以上に集中できて
良い作品が生まれるわけです。

 

細かく観察できる環境を作る

これは大前提ですが細密に描くなら
じっくり観察できる環境を
整えることですね。
光がキレイに当たっていないために
見づらい状況設定になっていることも
あります。
観察するための写真材料を用意するなら
ピントが合っていて鮮明に写っているもの
が必要です。
細部までしっかり観察できる写真が
ベストです。

 

完成イメージから描き込む所を決める

どこまで描いたら完成なのか
明確な完成イメージを持っておくことが
描写の効率アップやモチベーションアップ
に繋がります。
自分の目指すレベルに近い作品を
目に焼き付けておいたり、
完成イメージに近い写真を撮っておいたり
することが大事です。
完成イメージがしっかりしていれば
どこをどれだけ描き込んだら良いのかが
自然と分かってきます。
主役の部分でも
どこに焦点を当てて描き込むのかなど
具体的に進めやすくなります。

 

描く画材の特性を活かす

描く画材によっても描き進め方や
完成イメージは変わってきますね。
鉛筆ならシャープな線描や
カリカリと細かく鮮やかな発色の描写に、
木炭なら軟らかく繊細な空気感のある
滑らかな描写に、
油絵なら艶感のある味わい深い色味の描写
に向いています。
それぞれの画材の良さを生かして
描き進めることも大事です。

 

細密な描き込みの仕方

実際に細密に描き進めていくまでの
工程のポイントを解説していきます。

 

光の当て方にこだわる

何を描くか決めたら
全体の完成イメージを計画する前に
大事なことがあります。
モチーフの見え方を左右する光の当て方に
こだわることです。
光の設定を考えることは
画面を華やかに見せたり、
描写がしやすくなったり、
描写したモチーフが映える画面になったり
作品の出来栄えに大きく関わってきます。
素材の質感がよく見えるか、
色が鮮明にみえるか、
描きたいものに強く光が当たっているか
を大事にしましょう。
光の当て方と同時に
影も魅力的に見えているかも
チェックしてみましょう。
光と影が6:4くらいの割合になるように
状況設定すると
描きやすく魅力的な画面になります。

 

形を完全に決めてから描き込む

途中で形を描きなおさなくて済むように
最初に形をしっかり測って
正確な位置関係や形のシルエットを
決めておく必要があります。
描き進めるうちに徐々に決めるのではなく
最初に完璧に形を決めておくほうが
良いでしょう。

 

描き込む前の全体の土台作り

細密に描き込んでいくには
そのための土台作りが欠かせません。
形の起伏を大まかに描いてから
描き込んでいきましょう。
そのためには形が切り替わっているところ
や陰影の部分をよく観察して
調子をつけておく必要があります。
これをしておくことで細密な描写が
浮くことなく
自然に馴染んでいくようになります。

 

一気に集中して描き込む

いよいよ描き込みですが描くときは
一気に集中して描いていきましょう。
土台を作っていた工程とは違い
全体をまばらに進めるのではなく
主役の一部分に集中して描いていきます。

 

描き込みを上手く仕上げるコツ

細密に描いた部分を自然に見せたり
魅力的に見せたりするコツを
解説していきます。

 

粗密の関係を作る

細密に描く部分と描かない部分との
力の抜き差しが必要になってきます。
主役はしっかり描き込み、
脇役は手を抜くという
差別化をすることで
描き込んだ主役が引き立つ
バランスの良い画面になります。

 

限界以上に描く

描き込みが苦手という方は
実体験不足ということが大きいと思います。
下手でも「もうこれ以上描けない」
という自分の限界まで描いてみてください。
それを繰り返すことで
確実に描き込む力はついていきます。
いくら時間をかけても大丈夫です。
作品をこなすごとに少しずつ
描き込む時間を増やしていって
20時間でも30時間でも
自分の限界まで挑戦してみてください。
そこで経験した観察眼や手の動き、
画面への向き合い方や根気づよさは
確実に自分のものになっているはずです。

 

時間をかける

細密な描写というのはやはり
数時間でできるものではなく
根気強く時間を描けることで
完成度が上がります。
画面のサイズや描写の密度にもよりますが
見ごたえのある細密な描写をするには
少なくとも10時間以上は必要でしょう。
なかなか細かく描けない、
完成度が上がらないという方は
何十時間か時間をかけて
描いてみてください。
まだ描写力が未熟でも
時間を描けることである程度
見ごたえがでてきたり
完成度を上げることができます。

 

まとめ

絵の細密な描き込みについて
解説してきました。
細密な描き込みは描く環境を整えれば
初心者でも挑戦しやすい課題です。

形を正確にとるのが難しかったら
写真に撮った輪郭線をトレースしても
良いでしょう。

細かい部分がリアルに描けると
楽しいですよね。
その成功体験は自信になって
次の作品への意欲も上がってきます。

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