こんにちは、画家の落合真由美です。
今回は「絵画鑑賞」をテーマに
お話ししていきます。
皆さん美術館には
どのくらいの頻度で行きますか?
私は学生時代、毎週のように
美術館に行っていました。
ジャンルも年代も好き嫌いも関係なく
とにかく色々な作品を鑑賞しました。
情報収集のためでもありましたし、
絵を見る力をつけるためでもありましたし、
何よりも作品とじっくり向き合うことで
感性が豊かになりとても触発されました。
「絵画鑑賞」というと
何となく敷居が高いイメージ
を持っている方もいて、
特に抽象画や現代アートは
何が描いてあるのか分かりづらく
見方に戸惑うという声も少なくありません。
初めて美術館に行こうとしている方も、
あまり行かない方もよく行かれる方も
美術館での絵画鑑賞を120%楽しんで
感性を磨いていくオススメの鑑賞の仕方
を解説していきます。
目次
マイペースに絵画鑑賞を楽しむ
美術館では能動的に楽しむことが大事です。
自分の興味のあるものから
順路にこだわらずマイペースに
鑑賞しましょう。
ピンとこない作品や興味のない作品は
流して見て大丈夫です。
その代わり好きな絵には
たっぷり時間をかけて鑑賞しましょう。
解説をじっくり読んだり
遠目から全体感と対峙したり、
近くから画家の筆跡や絵の具の風合い
を感じ取ったりしましょう。
展示室の中央には椅子が置いてあることが
よくあります。
椅子に座ってたっぷりと
作品が展示されている空間に浸るのも
良いでしょう。
特に空いている平日などは貸し切り状態で
楽しめることがあり、
私は好きな絵の前に1時間くらいいたことも
あります。
周りの人に迷惑にならない程度に
行ったり来たりして自分のお気に入りと
時間の許す限り対峙するのがおすすめです。
美術館によっては順路通りに
進まなくてはいけなかったり
制限がある場合があるので注意しましょう。
美術館は閑散とした平日に行く
美術館には混雑時を避けた平日に行くのが
おすすめです。
知名度の高い巨匠の作品展にいたっては
土日は特に入場制限もかかるほどの
大盛況ぶりになることもありますが、
人が多い時に行っても鑑賞どころでは
なくなってしまいます。
近づいてみることも
ゆっくり時間をかけてみることもできません。
混まない時を狙っていきましょう。
解説は流し読み程度で良い
展示室には画家の年表や
作品が生まれた時代背景、
作品解説などたくさんの予備知識が
掲示されていますが
解説や知識ばかりに気をとられてしまうと
直感が妨げられ、
肝心の作品の良さを感じ取りにくく
なってしまいます。
論理的に考えるよりも感じることが大切です。
解説はあくまで足掛かりとして
まずはじっくりと作品の見た目を
楽しみましょう。
沢山の作品がありますので、
気になった作品の解説だけ熱心に読んだり、
年表や時代背景などは流し読み程度でも
十分楽しめます。
見た目の面白さや美しさを楽しむ
作品の見た目を純粋に鑑賞し、
見た目の美しさや面白さを
自分の主観で良いので楽しみましょう。
自分の作品の好き嫌いの傾向も
見えてくると思います。
何が描かれているのかよく見たり、
色の組み合わせのきれいさを感じ取ったり、
光と影の見事な描写を観察したり、
構図のカッコよさを感じ取ったり、
自分が好きだと思う作品があったら
作品のどの部分に惹かれているのか
感じ取ってみましょう。
画家の色遣いや構図、筆遣いなどの世界観で
いろいろな感情が湧き上がってくると
思います。
作品を見て楽しくなったり、
エネルギーを感じたり、
明るい気持ちになったり、
不思議な気持ちになったり、癒されたり、
落ち着いたり、緊張感を感じたり、
作品を目の前にすると
様々な自分と出合えます。
普段私たちがあまり体験することのない
言葉のない世界です。
作品と対峙することは
言葉でコミュニケーションをとって生活する
私たちにとって言葉でやりとりをしない
貴重な体験となります。
写実画や細密画は近寄って見て
そのリアルさを感じて
「どんな風に描いたんだろう?」
と想像したりします。
大きな風景画を目の前にしたら
その空間に自分も居合わせているような
錯覚を起こしたりします。
画家の躍動的な筆跡や絵の具の質感を
大いに感じ取れる作品もあります。
こういった作品の風合いは
実際に生で鑑賞しないと
感じ取りにくい部分です。
画集や画像では感じることができませんよね。
実際に美術館や画廊に足を運んで
鑑賞する醍醐味は
作品の大きさを感じることが出来たり、
描かれた画材の風合いを感じることが
出来たり、展示された空間に
じっくりたたずみ、
全身で体感出来るところにあります。
こうして自分の感覚を研ぎ澄ませ、
湧き上がる感情と向き合い、
能動的に鑑賞することで
有意義に美術鑑賞を楽しむことができます。
歴史的に有名な作品や
どこがで見たことのある馴染みのある作品、
自分の好きな画家の本物の作品に
生で出合えたときはとても感動します。
近くと遠くでの見た目の違いを鑑賞する
絵はある程度の距離から見たときに
全体感がまとまるように描かれています。
近くで見るとボンヤリしていて
何が描いているのが分からない場合でも
遠くから見るとその実像が
見えてくることがあります。
近くで見るときはどんな風に描いたのか
描く工程を垣間見ることが出来たり、
近くで見ないと分からないような登場人物が
いたりするのも楽しみの一つです。
画家は画面全体を俯瞰的に見て
作品を描き進め完成させますので
遠くから見た時の画面の演出にも注目です。
抽象画の鑑賞はむずかしい?
美術鑑賞を敬遠してしまう人の理由の一つ
として「抽象画の鑑賞の仕方が分からない」
ということがあります。
抽象画は
具体的な何かを描いているのではなく
目に見えないものや
画家の主観的な感情や考えを描いている絵
なので分かりづらく敬遠されてしまいます。
しかしはっきり分からなくて良いのです。
抽象画鑑賞の楽しみ方はむしろ、
その分からない部分を
想像するところにあります。
画家がどんな感情や考えで描いているのか
タイトルや作品の雰囲気から読み取ったり
想像したりして楽しみます。
なかには全く制作の意図がなく
ただ色や形の構成の美しさだけを追求したり
偶然きれいにできた絵の具の
シミのようなものを作品化することも
あります。
自分なりに作品の意図を想像したり
単純に見た目の美しさを楽しんだり
自由に鑑賞してみましょう。
抽象画の解釈の仕方は
見る人によって違ってきて当然なのです。
自由に鑑賞して良いのです。
絵画鑑賞をより楽しむための知識
まずは感覚的に鑑賞することが
絵画鑑賞を楽しむ秘訣ですが慣れてきたら、
さらに楽しむために予備知識を
前もって取り入れておくのも良いです。
美術館に行く前にこれらの知識を
事前にざっと予習しておくと
さらに感動が増すのでおススメです。
作品の歴史的価値
描かれた時代や環境
その当時の美術界のムーヴメント
画家の人生
歴史的にも価値のある作品は
何百年もの時を経て
私たちが目にすることができる
非常に貴重なものです。
その当時の宗教観や世界情勢、
美術界のムーヴメントを知れば
より作品への親近感が増すでしょう。
その作品の本物を間近で見られた時は
やっぱり感動します。
また画家の人生を知ることで
人生の紆余曲折と共に作風にも
変化がみられることが分かります。
画家の作品の年代ごとに変わる
作風の違いにも理解が深まり
楽しむことができます。
気軽に情報を取り入れるなら
美術館で貸し出している音声ガイドを
当日聞きながら鑑賞するのもおすすめです。
またSNSで作品の口コミを調べて
世間のリアルな感想や意見を聞いてみても
参考になるかもしれません。
まとめ
絵画鑑賞を120%楽しむための秘訣を
解説してきました。
絵画鑑賞は
ただ漫然と作品を眺めていくだけではなく
自分の感覚と向き合い
自分で作品の魅力を探求していく
能動的な楽しみ方が必要です。
自分のスタンス次第で
満足度や得られることが
大きく変わってきます。
どんな視点で鑑賞するかによって
同じ展覧会でも
作品の印象や感動するポイントが
違ってくるのも面白いですね。
ぜひあなたらしく絵画鑑賞を
楽しんでください。