センスある構図を取るためには?構図の考え方・アイデア・構成力アップの練習法

こんにちは、画家の落合真由美です。

今回は「構図」のお話です。
絵を描く時にテーマやモチーフを決めたら
一番最初に取り掛かることが、
どんな構図で描いていくか
構想することですね。

構図は絵の第一印象を左右するものであり
描き手のアイデンティティーが現れる
重要な要素です。
魅力的にモチーフを描き込んでいても
構図で損をして作品の魅力を
半減させてしまうことはよくあることです。

構図の取り方ひとつで、
見る人の視点や世界観が変わり、
描き手のオリジナリティーも
確立することが出来ます。

そこで今回は効果的に構図を取るための
考え方を解説していきます。

基本的な構図の考え方

構図を取ることは、
ある場面を切り取って鑑賞者に伝える行為
です。
描くモチーフだけでなく背景(余白)にも
意識を向け、背景をしっかりと空間
として捉えることが大事です。
背景を脇役だと思って描いていくと
背景がただの紙やキャンバスの余白
に見えてしまうのです。

主役を決めて、
主役が魅力的に見える
配置・トリミング・適切な余白の大きさ
になってるかを見てみましょう。
自分で客観的に見られない時は、
主役の佇まいが自分のイメージ通り
になってるかを判断基準にしてみるのも
手です。

例えば、主役が画面に
目いっぱい入っていて余白が少なければ、
迫力が出たり、テーマ性が強く伝わります。
しかし、主役の姿形が途中で
見切れてしまうトリミングだと
主役の佇まいが伝わりづらくなったり、
奥行きのない画面になりがちです。

また、余白(背景)を多めに取り、
モチーフを端に寄せる構図だと、
モチーフのインパクトは薄れますが、
その場の空気や空間の奥行き
表現することができます。
人物画なら人物の視線の先に少しだけ
余白(背景)を多く取ると
人物の視線の先に自然と鑑賞者の目線が
移動し、画面にリズムが生まれます。

モチーフの設置面に表れる
着目するなら、影の形や陰影を
主役級に扱って
画面の中央付近に持ってくると、
光と影がドラマチックに演出され、
独特の存在感が出たりします。

構図にはそれぞれ長所と短所がありますが、
それが自分が伝えたい意図と
上手く合致すると、
驚くほど効果を発揮して
自分らしい作品にしてくれるのです。

良い構図を取るための練習その①

前章では構図の考え方を解説しましたが、
自分のアイデアや観察力・考え方に
自信が持てない場合は
良い構図のお手本を自分の目で見て
インプットすることが大事です。
心地よいバランスを感覚で掴むことで
徐々に自分のものになっていきます。

色々なジャンルの巨匠達の作品を
見てみましょう。
自分の作風に近いもの、
心地良く感じる構成のものを
ストックしていきましょう。

油絵など色彩を使った作品は
画面を白黒に置き換えて
白黒の配置のバランスを見ます。
今はウェブサイトで簡単に巨匠の作品が
見れるようになっていますよね。
パソコンの画像編集のツールで
白と黒の階調に置き換えてみましょう。
また、対象をリアルに細かく描写している
具象的な作品は単純化して捉えることで
配置のバランスを学びましょう。

特に学びやすいのは抽象画です。
構成がシンプルで秀逸なものが多く
吸収しやすいです。

白・黒・中間色がどの位置で
どのくらいの割合で
どんな形で入っているのか?

主役と脇役はどのように
区別されているか?

徹底的に観察して上手い部分を
どんどん盗んでいきましょう。

良い作品にとにかく沢山触れることで
自然とバランス感覚が身についていき、
自分のものになっていきます。

良い構図を取るための練習その②

前章ではお手本を沢山集めて
良い構図のバランス感覚を
インプットしましたが、
今度はその感覚をアウトプット
してみましょう。

モチーフは何でもいいので
15分のクロッキー
を沢山やってみましょう。

お手本で勉強したことを参考に、
どこに強い黒を置いて、
どこを軽く描き流すのか
白黒の構成バランスを考えながら
構図を取って描いてみましょう。

短時間で描くことは構図の練習だけでなく
総合的な描く力や構成力が鍛えられます。

構図のセンスアップは主役の見せ方次第

構図を考えるのが苦手な場合、
バランスの良い構図を頑張って取ろう
と思うとかえって逆効果で
つまらない画面になりがちです。

センスのある構図や
オリジナリティーのある構図は主役を
どう魅せようか、どこに着目しようかに
しっかり拘りがあることが特徴です。

作品のテーマと主役をまず考えて、
それを実現する為に構図を取る
と良いでしょう。

例えば…

モチーフの存在感を表現したい

モチーフの設置面・光と影の形に着目して
綺麗に見える構図を探す

 

質感やディティールをリアルに表現したい

モチーフに近寄って構図を取る

 

具体的な構図の種類と効果

具体的にはどんな構図の種類があるか、
それが鑑賞者にもたらす効果を
一例として簡単にまとめてみました。

 

画面中央にモチーフを持ってくる
(象徴的、テーマのインパクトさ)

 

影に注目する
(存在感)

 

近寄る
(親近感、質感のリアルな表現)

 

見上げる
(迫力、遠近感)

 

俯瞰
(全体感、客観的)

 

横や後ろからの視点
(テーマの投げかけ・示唆・想起)

 

背景を多めに取る
(空間と奥行きの表現)

 

まとめ

今回は構図を取る際の考え方を
お伝えしてきました。
構図がカッコよく決まるとそれだけで
絵のインパクトが上がり素敵な作品
になります。
構図を取る際も
構図を決めて描き込んでいく際も、
今回の練習その①で学んだ
白黒の配置のバランス
を意識しながら描き進めると良いでしょう。

常に自分の作品の全体感を見ること
を忘れないことが大切ですね。
では、また。

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