【初めての油絵】パレットの選び方とパレットへの絵の具の並べ方を初心者にも分かりやすく解説

こんにちは、画家の落合真由美です。

今回は
「油絵の具をパレットに出すときの
効率的な方法やパレットの選び方」
についてのお話しです。

どの色を選んで
どうパレットに並べて描いていくかは
人それぞれですが、
油絵のパレットはどう使うのが
効果的なのか、何が正解なのか
実はなかなか教えてもらう機会が
ないことでもあります。

効率的な油絵の具の出し方や
パレットの選び方について
オススメの方法を分かりやすく
解説していきます。

 

パレットへの基本の絵の具の出し方

パレットに絵の具を出すときは
基本的に色相環状に出していくと
効果的です。

特に初心者にはオススメのやり方ですし
迷ったらこのやり方で出していくと
制作しやすくなるかと思います。

色相環とは
色を環状(輪状)に並べたもの
のことです。

色は光の波長によって

という風に連続的に変化していきます。

その順番で輪状に置くことで
隣り合う色同士が似た色になりますので
絵の具を取って混色する際に
色が濁りづらくなる効果があります。

また色相環状に並べることで
一目で補色の関係が分かるので
色の構成に困ったときに
バランスの良いカラーチョイスが
しやすくなります。

補色とは
色相環の反対側にある色のことです。

補色の関係にある色同士を並べて置くと
相互の色が強調されて
互いに引き立ち合う効果があります。
これを補色対比と呼びます。

色相環状で橙色の反対側にある色は青色なので
橙色と青色が補色同士の関係にあることが
分かります。

持っている絵の具を色相環状に
パレットに出してみると
出した全ての色を使いきることは
ないかもしれませんが、
混色がしやすくなります。

またイメージ通りの色が
作りやすくなったり
色使いのセンスがアップしたりと
積極的な制作スタイルや
レベルアップに繋がっていきます。

色相環の中に黒と白は入っていませんが
必ず使う色なので
パレットの持ち手付近に置くと
良いでしょう。
黒と白は濁らないように
離して置くのがポイントです。
また白は他の色より使う頻度が高いので
多めに出しておくと便利です。

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混色しやすくなる絵の具の出し方

色相環状に並べる基本の絵の具の出し方
だと使わない色が出てきたり
絵の具を混色する場所が狭くなる
デメリットもあります。

混色しやすくするために別のやり方も
ご紹介します。

右利きで描く人の場合
パレット上部・左端に絵の具を並べ
中央に余白を作ります
中央部分は混色するエリアとして
使うことができます。

色相環状に並べた時の様に
近い色同士を並べて置くことで
混色の際に色が濁りづらくなります。
また自分が何色を使うか
よく分かっている場合は
持っている絵の具のうち
使う色をピックアップしても良いでしょう。

混色する場所も色別や明度別に分ける
色が濁りづらく
スピーディーに色が作れます。
明度とは色の明るさや暗さの度合い
のことです。

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絵の具はどのくらいの量を出す?

パレットに出す絵の具の量は
必要な量より多めにしましょう。
描いている途中で
足りなくならないようにするためです。
こうすることで
制作に集中することができます。
また自分では使わないと思った色も
たっぷりと色相環状に並べることで
積極的な制作姿勢に繋がります。
思いもよらない良い方向に進んだり
意外な色使いが見つかったりして
作品が豊かになっていきます。

パレットに出した絵の具を保存したい時は
パレット全体をラップで包む
乾燥しづらくなり
2.3日保存することができます。

また冷蔵庫で保存することで
さらに酸化を遅らせることができ
より長持ちします。

描く枚数を重ねていくと
自分がどのくらいの分量の絵の具を使うか
がだんだん分かってきます。
始めたての頃は
絵の具を多めに出す様にして
枚数をこなすごとに量を調節していくと
良いでしょう。

 

油絵パレットの種類別の特徴

パレットには様々な種類があります。
それぞれの特徴をご紹介します。
自分に合ったパレットを選んだり
複数のパレットを併用するのも便利です。

 

油絵パレットの材質による違い

 

パレットは

大理石
アルミ

などの種類があります。

材質によって
それぞれの特徴や使い勝手が違いますので
解説していきます。

 

 

木製パレット

油絵のパレットの中では
一番ポピュラーなものですね。
木製タイプは表面が硬く
絵の具が滑りにくいので
安定して混色できるのが特徴です。
お手入れは必須なので
使用後要らない絵の具は
すぐに拭き取ることが大切です。
手に持ちやすく馴染みやすいのも
ポイントです。
一度購入して丁寧にお手入れすれば
長期間使用できるので
長い目で見ると
コストパフォーマンスが高いパレットです。
デメリットとしては
絵の具が固まってしまった場合、
別途剥離剤が必要になってしまう
ところです。

 

 

大理石パレット

パレット自体が重いので安定感があります。
室内でパレットをしっかり固定した状態で
描きたい場合に適しています。
また丈夫で長持ちするのも特徴です。
表面は滑らかな質感で
混色しやすいところも魅力です。
色はグレーベースなので
絵の具の色が見やすいです。
デメリットとしては
重い分持ち運びはしづらいので
屋内での制作向きです。

 

 

アルミパレット

軽くて丈夫なのが特徴です。
木製パレットを使用していて
重く感じる場合は
アルミパレットに変えても
良いかもしれません。
軽いので屋外制作時に
持ち運ぶのに便利です。
絵の具を拭き取りやすい点も魅力です。

 

 

紙パレット

表面に加工がしてある紙が束になった
パレットです。
汚れたらその都度めくって
捨てることができます。
お手入れの必要がなく片付けが楽なのが
一番の魅力です。
お手入れする時間がない方や
絵の具の扱いに不慣れな初心者に
オススメです。
キャンバスと同じ白ベースなので
色の発色を確認しやすいところも
ポイントです。
軽いので持ち運びしやすく
使用後は捨てられるので
屋外制作にも向いています。
ただ耐久性は低いので
大量の絵の具は混ぜづらいところが
難点です。

 

油絵パレットの形による違い

パレットの形による違いは
絵の具の並べ方や筆の運びに
影響してきますので
自分の制作スタイルによって
選んでみましょう。

 

オーバル型[楕円形]

扇状に絵の具を並べることができるので
制作時に少ない筆の動きで
混色することができます。
手に持ちやすい形でもあります。

 

 

フランゼン型[雲形]

オーバル型を大きくした様な形です。
制作時に左腕に当たる部分は
大きくえぐられていて
身体にフィットするような
作りになっています。

 

 

オブロング型[角形]

キャビネットや道具箱の形に
収まりやすい様に長方形の形をしています。
長方形なので絵の具の配置を整理しやすく
混色するスペースを広く取れるので
初心者にオススメの形です。

 

 

オブロング二つ折り型

長方形の形のオブロングが
二つ折できる様になっている
持ち運びに便利な形です。
小型の道具箱にも入る様な
コンパクトな作りです。
屋外での制作にも向いています。

 

パレットを複数枚併用する

自分に合ったタイプのパレットを
一種類使い続けるだけでなく
制作方法によって複数のパレットを
使い分ける方法もあります。

大きな絵を描くときや
ベースを塗る作業をするとき、
形を大まかに描き起こしていくとき、
細かい描写をしていくとき、
それぞれの段階で
使う絵の具の分量や筆運びが
違ってきますので
工程によってパレットを変えても便利です。

 

木製パレットに色相環状に
絵の具を出しておきます。

序盤でベースを塗る時など
絵の具を大量に使うときは
使い捨て出来る大きめの紙パレットを
使います。

中盤作業は混色がしやすく
保存もしやすい木製パレットを使います。

終盤作業での部分的な細かい描写は
描写の際に持ちやすく
邪魔にならない小さめの紙パレットを
使います。

 

この方法以外にも自分で使いやすい
やり方があると思いますので
パレットをいくつか試してみて
自分で使い分け方法を見つけるのも
面白いですね。

 

油絵パレットのお手入れ

油絵はパレットを使うにあたって
お手入れが欠かせません。
発色良く色を扱うためにも
パレットはきれいにしておきましょう。

油絵の具の扱いに不慣れな初心者や
お手入れの時間を少しでも時短したい方は
紙パレットがおすすめです。

木製などのパレットを使った後の
お手入れのポイントとしては

□パレットナイフでよく絵の具を落とす
□布などでしっかり拭く
□筆洗油や揮発性油で落とす

この3つです。

汚れを落とした後は
乾性油を布を使ってパレット表面に
馴染ませておくと
次に使用した後のお手入れが
しやすくなります。

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まとめ


油絵のパレットを使う時の
絵の具の出し方やパレットの選び方
について解説してきました。

ポイントをまとめると

□基本は色相環状に絵の具を出す
□混色しやすいスペースも作ると良い
□絵の具は気持ち多めに出す
□工程によってパレットを使い分ける
□パレットはお手入れをする

この5つです。

パレット選びや使い方は
的確な色の表現や筆さばきに
関わってきますので
是非参考にしてみてください。

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