顔のリアルな描き方とは?簡単にバランスよく描くための徹底的攻略法

こんにちは、画家の落合です。
今回は「顔」の描き方がテーマです。
顔はいろいろなパーツが凝縮していて
難しいですよね。
人物画においても顔が一番の見せ場であり
思い入れが強くなる部分です。

顔を描くにあたって多いお悩みとして
人間離れした顔になってしまう
なかなか形が決まらない
そっくりに描けない
目の焦点が合わない
など様々で、何度も描きなおし
悪循環に陥ってしまうこともあるでしょう。

一見描く所が沢山あって難しそうですが
ポイントを整理していけば大丈夫です。
上手く描けるコツを伝授していきます。
その人そっくりに顔が描ければ
おのずと絵の完成度が増し
モチベーションも上がってきますね。

バランスよく描くコツはパーツ同士の比率

顔を描き進めるにあたって
パーツの位置関係や大きさを
正確に決める必要があります。
ここでしっかり比率を図って
位置関係を示すことで
この後の描き込みがスムーズに進み
リアルな絵へとつながります。
逆に位置関係が曖昧なままで
徐々に決めていこうとすると
いつまでも形が決まらず
苦労することになってしまいます。

まず顔の形や大きさを考慮して
顔の輪郭線を描きます。

次に顔面に仮の補助線として
縦の中心線を入れます。
顔の各部分の位置関係を割り出して
印をつけましょう。

顔の中心にある鼻の大きさや位置関係
を決めます。

これから、この鼻を基準として
ほかのパーツの大きさや位置関係
割り出していきます。

 

鼻の長さに対して額の長さ
どのくらいか?

鼻の長さに対して鼻の下から顎先
までの長さはどのくらいか?

鼻の大きさに対して目の大きさ
どのくらいか?位置は?

鼻の大きさに対して口の大きさ
どのくらいか?位置は?

鼻の横幅に対して
眉間、眉尻、目頭、目尻、口角
はどの位置に来ているか?

鼻の位置に対して耳の上部先端、
耳たぶ先端はどの位置に来ているか?

 

この比率を測る工程がリアルな描写には
不可欠ですので怠らずに
正確に取り組みましょう。

立体感を簡単に出すには顔を面で捉える

顔は目鼻口のパーツに意識が行きがちですが
顔の立体的な骨格に各パーツがはまっている
と捉えることが大事です。
立体的に捉える簡単な方法として
顔の面の切り替わりを掴んでいく
と良いでしょう。
頬骨、額、顎には面が大きく切り替わる所
(稜線)があります。
その稜線を境に現れる陰影を
描いていきましょう。

目鼻口の各パーツを描く時も同じです。
パーツの輪郭線を追うのではなく
パーツの形の切り替わる所(稜線)
を意識して描いていきます

各パーツを描き進める順番はこちら

眉毛

眉毛そのものの形を描くのではなく
眉毛の下の骨の出っ張りやくぼみ
の陰影を描いた後に
眉毛の毛並みの強弱をつけて描く
とリアルです。

 

目は目の周りの凹凸の陰影を描く
ことがポイントです。
アーモンド形の輪郭線と瞳
をいきなり描くと
顔面から浮いてしまい
平面的な絵になってしまいます。

眉毛の下と瞼の間にくぼみ
がありになっていますね。
瞼は膨らみがあるので目頭と目尻
になっています。
瞼の丸みを出すつもりで
陰影を描きましょう。

また目の下には涙袋がありますね。
目の下で一度ぷっくり膨らんで
その下にくぼみがあります。
その陰影を描きましょう。

このように目の周りの形の凹凸の陰影
を追うことで自然と目の印象が出来てくる
というわけです。

この土台が整ってから
目そのものを描いていきます。

まず二重幅を描き、眼球の周りの粘膜
を描きます。
描く角度によって粘膜の見え方
が変わりますね。
真正面からだと上瞼の粘膜は
ほとんど見えませんが
横顔や見上げた角度からだと
上瞼の粘膜が見える分量が多くなります。

まつ毛も密集しているところ、
毛並みが見えるところを区別して描く
立体的になります。

最後にいよいよ眼球を描きます。
眼球はもちろん球体なので
の部分にハイライトが付き
目頭や目尻に近いところ
が付いています。
瞳の黒い輪郭線を強調して描きがちですが
眼球の丸い構造が伝わる様に
瞳の輪郭線を強く描きすぎないこと
がポイントです。

仕上げは
瞳の中心にある瞳孔
その近くにあるハイライト
を描くことです。
目の左右で同じバランスになっているか
注意しましょう。
左右チグハグだと目の焦点が合わない
表情になってしまいます。

 

鼻は立方体として捉えることが
ポイントです。
以下の面の切り替わりによって
できる陰影とハイライトを描けば
大方鼻の印象が出来上がります。
鼻は輪郭線をはっきり描かないこと
が自然な印象になるポイントです。

鼻根のくぼみの陰
鼻筋の側面の陰
小鼻の側面の陰
小鼻の丸みの陰
鼻の下に落ちている影
鼻筋に入る弱めのハイライト
鼻の頭のハイライト
小鼻に入る弱めのハイライト

最後に鼻の穴の輪郭線を
強弱をつけて描きます。
鼻の穴ははっきり描きすぎないことです。

鼻の穴の周りに反射光があるので
反射光も描くとリアルな印象になります。

 

口も唇の周りの凹凸から攻めていきます。

上唇の上の人中には
特徴的な凹凸があります。
うっすらとした陰と
ハイライトのアクセントが入ります。

上唇の輪郭線に近いところに
柔らかいハイライトが入ります。

上唇の下側には反射光が入ります。

下唇には上唇の影が落ちています。

下唇のトップには
ハイライトが入ります。

下唇の口角に近いところに
うっすらハイライトが入ります。

口角には左右特徴的なくぼみがあり
陰になっています。

下唇の下は結構くぼんでいて
になっています。
この影の形を忠実に描くと
リアルな印象になります。

最後に上唇と下唇の境目の際(キワ)
を強弱をつけて描きます
ここは平たんな一本の線にしては
いけません。
部分的に強くしたり弱くしたり
抜き差しをすることで立体的になります。

顔をリアルに仕上げるためには

これまでこのような工程で描き進めてきました。

顔の輪郭線に対して各パーツの比率を測って
位置を決める

顔を面で捉える

各パーツの面の陰影を描き、顔の印象を作る

ここまで来て
顔にリアリティーが出ない
モデルの顔と似ない
という問題が出てきたら
以下のことを見直してみましょう。

 

①各パーツの比率は狂っていないか

額の長さ
眉毛から鼻先までの長さ
鼻先から顎下までの長さ
は個人差もありますが
おおよそ1:1:1
になります。
かけ離れすぎていると
人間離れした顔や幼児のような
顔になってしまいます。

 

②モデルをよく観察したか

顔が似ない原因は
モデルの顔をよく見ていないから
だといえます。
人間は無意識に日常見慣れている自分の顔
をインプットしていて
人物画を描くときも自分の顔に似寄りの顔
を描きがちです。
各パーツの大きさや角度を
鼻を基準として測りなおしてみましょう。
この時細かく見すぎないことです。
自分の画面を離れた位置から見てみて
モデルと大まかに比べてみましょう。
大きさや角度をざっと直すだけで
印象は近づくものです。
特徴の手がかりを残す
という感覚で描くと良いでしょう。

 

③明暗の強弱の辻褄はあっているか

よくありがちな例として
目と口の輪郭線を強く描きすぎて
不自然な印象になってしまうことが
あります。
目鼻口は顔の造形の一部であり
顔の凹凸の陰影と辻褄を合わせること
が必要になってきます。
目鼻口の存在感が不自然になってしまう
のは見方が部分的すぎるからだといえます。

モデルを離れた位置から見てみましょう。
このとき顔全体を見て
一番暗いところ、
二番目に暗いところ、
一番明るいところ、
二番目に明るいところ
明暗の度合いを順位付けしていきましょう。
難しい場合は
暗記の時に使用する半透明の赤いシート
を用意して赤いシート越しに
モデルを観察すると
明暗の強弱を見やすくなります。

明暗の関係性が自分の画面と
かけ離れていることがわかるでしょう。

絵は案外細かく描きすぎずに
全体の関係性をよく見ることで上手くいくものです。

まとめ

顔の描き方について解説してきました。
顔がうまく描ければ気持ちも乗ってきて
絵に華やかさが出てきます。
最初に形の比率をよく図ることを意識して
やってみてください。
最初が肝心です。
最初にしっかり形を決めてしまえば
あとはスムーズに進みます。
顔はどうしても思い入れが強くなりがちなので
見方が主観的になってしまいますが
客観的に一つの立体物として
観察していくことが大事ですね。
よく観察すれば意外な発見があったりして
視野が広がり、楽しめるものです。

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