人物デッサンが最短で上手くなる!人物らしく描くための8つの攻略法

こんにちは、画家の落合真由美です。

ふだん絵を描いている方
もしくはこれから始めようとしている方
美大受験を控えている方など
人物画自画像などを描く機会が
あるかと思います。

でも人物を描くのって
けっこう難しいですよね。
大きな立体物である人物をを
小さな画面にバランスよく収めて
リアルに描かなくてはならないのですから。

形が狂ってしまう
身体つきが不自然
顔がなかなか決まらない…
など悩みは尽きないと思います。

わたしは美大受験の際に人物デッサンを
たくさん経験しましたが、
見た通りに描ける様になるまでは物凄く
苦労しました。
そんなわたしの苦い経験を踏まえて
「人物らしくリアルに描くコツ」
を詳しく紹介していきます。

体の描きだしのコツ

まず画面に人物をどう入れていくのか
計画を立てます。
各パーツの大まかな比率を見て見当を
つけていきます
観察する順番はこちら↓

画面上に頭部の天辺の当たりをつける

画面上に足の着地点の当たりをつける

人物を上下に二分割したときに中央に来る
パーツは何か?

頭の大きさはどれくらい?
頭や顔は大きく描きがちなので何頭身なのか
測ったうえであごの位置の見当をつけましょう。

手の長さはどれくらい?
手の先が人物の体のどの位置に来ているのか
見て見当をつけましょう。

上下に二分割したときの中央のラインを目安に
胸の位置
ウエスト位置
股の位置
に見当をつけましょう。

肩の位置や肩幅はどこに来る?
肩やあらゆる関節の位置は左右対称でなく
左右どちらかが上がったり下がったり
傾いているものです。

各関節の位置はどのへん?

体の横幅を決める
細すぎたり太すぎないしないように
ほかのパーツと比較しながら
位置を決めましょう。

足先の向きや足の大きさを決める
足は小さく描きがちですが足は25センチ前後
の大きさです。
つまり頭と同等くらいの大きさがある!
ということを忘れずに。

人物らしい輪郭線を描くコツ

大まかにパーツの位置が決まったら
今度はそれをつなげて輪郭線にしていきます。
この工程は人物の形の土台となるところ
なので形を正確に描くことが大事です。

描いていくうちに徐々に輪郭線を決めていこう
と考えているとどんどん形がずれて
リアルさからかけ離れてしまうので
後で大きく描きなおしをせずに済むように
何度も見直して確実に形を
決めてしまいましょう。
この段階で形がきれいに決まっていれば
人物デッサンはスムーズに仕上がっていきます。

輪郭線の描き方は最初は軽く直線的に形を
単純化してとらえることです。
これが人物デッサンの骨組みになります。

人体には関節と筋肉があることで
人工的なロボットや人形とは違うのは
流れるような柔らかいストローク
必要になることです。

大事なのはしっかり観察して決めた
パーツの位置は動かさずに柔らかな輪郭線に
仕上げていくことです。

人物らしい形にするコツ

輪郭が決まったら今度は形を立体的に
描いていきます。
人体を面でとらえ
形が切り替わる部分(稜線)
を見つけましょう。

人体は複雑な動きができるので
上半身と下半身で向いている方向が違ったり
軸足によって左半身と右半身の見え方の違い
起きたりします。
なので各パーツの面はどこを向いているのか
左右の肩・腰・膝のそれぞれの傾きは
どのくらいか
をよく観察して形が切り替わる部分(稜線)
をしっかり描きましょう。

大事なのは人体の軸を確実にとらえたうえで
各パーツの面を描くことです。
各パーツの面の向きは様々ですが
全体でみると一体の骨格や筋肉として
すべてつながっているからです。

人物の形が不自然な要因はこの二つです。
自分の画面を離れた位置から見てみて
不自然だったらこの二つを見直してみましょう
□各パーツの大きさや位置関係がおかしい
□骨格や筋肉のつながりがおかしい

また自分がどの視点から観察しているのかの
意識も大事です。
見上げているのか、同じ目線なのか
で各パーツの大きさや面の見え方も
変わってきますよね。

見上げていれば遠近感により
足元はやや大きく頭部はやや小さく見え、
あごの下側の面が見えたりしますね。

自分の画面を見たときに目線も伝わるような
表現になっているとGOODです。

人物らしい陰影のつけ方のコツ

まずは光の方向を一方向に絞ります。
あらゆる方向から光がさしている場合も
一番強い光源はどこからなのかを明確に
することで陰影の観察と描写が
しやすくなります

たいていの場合、右上もしくは左上から
光が当たりますので
人物の体の側面から脚にかけて
強い陰影が付きます。
この陰影が人物の存在感となり
デッサンの第一印象を左右します

いくら細かいところをリアルに描いても
人物がたたずんでいる全体の光の陰影を
強く示さない限り人物の存在感は出ません。

リアルなデッサンには対象の細かい観察と描写
が必要と思われている方が多いですが
実は重要なのは対象の形や光の方向を
整理して簡略化する力です。

この段階で付けた人物の存在を示す
大きな陰影バランスが描き終える段階まで
キープされているか?
を念頭に描き進めていきましょう。

顔の描き方のコツ

これから人物の各パーツを
描き進めていきますが、
各パーツを描いている際も
ときおり離れた位置から自分の画面を
客観的に見て陰影が強すぎないか
骨格や筋肉のつながりがおかしくないか
をチェックするようにしましょう。

人物の顔は
人物デッサンの見どころでもあり思い入れが
強い部分でもありますね。

ここでも描き込む前にしっかりパーツの位置
を測って決める必要があります。
個人差がありますが
だいたいの平均的な位置関係として
額のてっぺんから眉毛まで
眉毛から鼻の下まで
鼻の下から顎まで
が1:1:1になります
ここを大きくかけ離れると
人間離れした顔になってしまいます。

ちなみに子供の顔のパーツは
中央に寄り気味の配置になります。
顔が子供っぽくなってしまった場合は
パーツの配置が中央に寄りすぎていることが
考えられます。

位置が決まったら目鼻口を
いきなり描くのではなく
目鼻口の周りの形の凹凸の陰影を
描いていきます
たとえば
各パーツごとに見るポイントはこちら↓

【目】
眉毛の下と瞼の間のくぼみ
涙袋
目の下のふくらみ
目の下のくぼみ

【鼻】
鼻根のくぼみ
鼻筋の側面
小鼻の側面や丸み
鼻の下に落ちている影

【口】
上唇の上の人中
下唇に落ちている上唇の影
口角のくぼみ
下唇の下のくぼみ

陰影をつけることで顔の凹凸を形成すること
ができます。
これだけで大方顔の印象が表現できています。

あとは細かいところを描くだけです。
注意点はあまり強くパーツの輪郭線を
描きすぎないことです。
コントラストがはっきりしている部分だけ
輪郭を描くようにし
あとは陰影で表現するくらいの意識で
描くと自然な佇まいになります。

仕上げはハイライトです。
ハイライトを入れることで立体感が増し
見どころを作ることができます。

眼球や鼻の頭、上唇には
くっきり強めのハイライト
入ります。
額、頬、顎には
ボンヤリとした弱めのハイライト
入ります。

 

こちらでは

顔の描き方のコツ

をさらに詳しく解説しています↓

顔のリアルな描き方とは?簡単にバランスよく描くための徹底的攻略法

手足の描き方のコツ

腕や脚は形が切り替わる部分(稜線)
を強調して描くと人体の厚み
立体的に表現できます。

手も足も顔と同じくらいのサイズ感なので
小さくとらえすぎないように
注意しましょう。

いきなり指を描くのではなく
一つの塊でとらえた後に凹凸の陰影を
つけます。
関節によって切り替わる面の形
手指の側面を描くことで自然と
手足の佇まいになります。

指の輪郭線も強く描くところと
ぼやかすところと差別化をすることで
立体的な印象になります。

足を描く場合は
裸足の場合でも靴を履いている場合でも
接地面とその影を忠実に描くことです。
床に立っているという
リアリティーが出てきます。

服の描き方のコツ

服には人体の形に沿った陰影が発生します。
服で人体が見えない場合でも人体の形や
面の向きを仮の線で描いてから
服を描き始めると正確に描けるでしょう。

服にできたシワの表情や陰影を追うことで
着用している服の印象が出来上がります。

ここで気を付けたいのは
服は一枚の布でつながっている
ということです。
シワを追うあまり陰影が強すぎたり
ハイライトが強すぎたりしがちです。
布製品の柔らかさを表す中間のトーン
を主体にして描くようにしましょう。

 

こちらでは

服のシワの描き方

をさらに詳しく解説しています↓

服のシワの描き方と練習法とは?コツが分かればシワの描写は楽しい!

人物デッサン仕上げのコツ

各パーツを描き進めてきて
人物らしさが出てきたら全体感
調整していきましょう。
チェックポイントはこちら↓

光の当たり方に統一感はあるか?
□画面で一番明るいところ、
 一番暗いところの辻褄はあっているか?
人体の質感を表すために
 中間のトーン(ハーフトーン)を
 豊富に使っているか?
□顔、身体、手足が一つの人体として
 自然につながっているか?
□髪の黒さに対して肌の陰影や
 服のしわの陰影は黒くしすぎていないか?
□人物が地面に立っている、もしくは
 椅子に座っているなどの状況が
 自然か?
□画面の中に見どころはあるか?
 (白黒のコントラストをくっきり描いたり
 細かく描き込んでいるところはあるか?)
人物の顔は生き生きとしているか?

自分の画面を離れた位置から何度も見て
自然な佇まいになるまで何度も調整していきましょう。
ときには前の工程に戻って
描きなおしたりする必要も出てくるでしょう。

自分の納得のいくまで
観察と調整を繰り返したら完成です。

まとめ

人物デッサン上達のコツを紹介してきましたが
いかがでしたか?

なんといっても大事なのは
形をよく観察することです。
形が狂ったままだと描いていくうちに
どんどんモチベーションが下がってしまう
ので最初のうちにしっかり決めてから
進められると良いですね。

人物デッサンは描き込むところが多くて
一見難しそうですが、
特徴の手がかりを残す
くらいの気持ちで描いていくと
攻略しやすいです。

全部描こうとしないで
形の変わるところや陰影が強いところ
をポイントを絞って描くということですね。

デッサンとは見える情報を整理して
簡略化し、二次元に落とし込む作業
なのです。

ではこれからもデッサンを
楽しんでやっていきましょう。

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