絵の制作時間の平均や目安は?趣味の場合・上達を目指す場合・表現別それぞれの違い

こんにちは、画家の落合真由美です。

今回は絵を描く時にかける「時間」
のお話です。
趣味で描く方も
しっかり上達を目指している方も、
描き上げるまでに費やした「時間」が
絵の仕上がりに関わってきます。

どのくらいの時間をかけて描いたら良いか
は描く絵の種類や目的、
個人がそれぞれ抱えている課題によって
様々ですね。
それぞれどのくらいの制作時間が
目安なのか解説していきます。

 

描く目的によって制作時間が違う

目指す方向によって
一枚の絵にかける時間の目安は
変わってきます。

趣味なのか、
もしくは美大受験やプロを目指していて
本気で上達したいのかなどの
目的別ですね。

 

趣味で油絵を描く方

趣味で油絵を描く方は

長時間描き続ける習慣がない方も
いらっしゃると思うので、
自分が集中できる時間に沿って
描いていくことが大事ですね。

例えば油絵の場合は
乾燥させながら
少しずつ描いていきますよね。
日数をかけて完成させていくので
最初に決めた完成イメージと
なるべくずれないように
無理なく集中できる範囲で
描いていくと良いと思います。

15号くらいの油絵なら
20時間から30時間くらい取り組むと
ある程度密度が出てきます。
時間を決めずに納得のいくまで描くことも
あるかと思いますが、
あまりにも長いスパンで描き続けると
最初の完成イメージと制作過程で
少しずつ方向性がズレる可能性が
出てくるので
最初に計画した下絵を見直すなどして
ズレないように注意しましょう。
またずっと同じ作品を
何ヶ月も描き続けていると
見方が偏って
客観性が薄れたりしてしまいます。
息抜きとして別の作品に着手するなど
スパンを空けると
新鮮な目で取り組むことができます。

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美大受験やプロを目指す方

描写の上達を本気で目指す方は
デッサンの枚数をこなすことに
なりますので時間の使い方が
大事になってきますよね。

制作時間の目安は
自分の抱えている課題によって
変えていくと良いでしょう。

 

スピード感が課題の方は3時間

「描く速さが遅い、
制限時間まで描いても
描き込みが物足りなく完成度がイマイチ」
という描くスピード感が課題の方は
まず絵を3時間で仕上げてみてください。
絵の大きさに関わらず3時間で描くのです。
絵は
【ベースを描く→形を描き起こす
→描き込みをする】
の3段階で成り立っていて
このプロセスは最短3時間
できるようになっています。
そのためには全体感を掴んで
各パーツごとの特徴を
大きく簡略化して捉えていく必要が
あります。
3時間で目一杯描き込むというよりは
パーツ同士の形の大きさや角度、
明暗などを比較して描き分けていき、
全体的に大きく捉えていく描き方です。
この3時間描写ができれば
全体のバランスを見ながら
早く完成イメージに近づけることが
できます。
描くのが遅い方は
細かい部分に気を取られすぎていることが
考えられます。
この3時間制作で
判断力とスピード感を鍛えると
良いでしょう。
続けていくと
今までかかっていた二分の一の時間で
描けるようになっていくと思います。

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描写力に不安がある方は限界まで描く

形を正確に描くことや
細かく描き込んでいくことが苦手な
「描写力に不安がある方」は
「限界まで描く」ということを
実践してみてください。
自分でこれ以上描けないという状態まで
最大限やってみて
今の自分にできる
最高のパフォーマンスが
どのくらいなのかを把握します。
できるまで何日間かやり続けて
良いと思います。
今度はこのやり方でできた絵の状態を
6時間から12時間くらいでできるように
詰めていきます。
通常デッサンだと短くて6時間、
長めの設定で12時間くらいが目安です。
クオリティーが徐々に上がっていくと思います。

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構成力に不安がある方は短時間で

構図の取り方やモチーフの配置、
色のチョイスなど
構成力に不安がある方は
数をこなすつもりで
小さめの絵を3時間前後
何枚もこなしていくと良いでしょう。
構成力とは全体感を見る力なので
細かい描写の工程は省いて
大きな色面分割で描いていきます。
例えば実際に画用紙やキャンバスに
作品として描かなくても
エスキース帳にアイデアや全体像を
たくさん描き溜めていくやり方も
効果的です。
エスキース(下描き)だけでなく
アイデアを実際の作品にしていく過程での
作業効率も計らないといけないので
キャンバスに絵の具をのせてみて
アイデア通り上手くいくかどうか
試していくことも大事でしょう。

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絵の表現によって制作時間が違う

描く絵の種類によって
どれだけの時間を費やすのかも
変わってきます。
それぞれどのくらいの制作時間が
目安なのか解説していきます。

 

クロッキーなどの習作

形の特徴を掴むことや全体像を捉えるのが
目的なので短くて1分
時間をかけても15分くらいで
取り組んでいきます。

1分クロッキー
手のひらサイズくらいのクロッキー帳に
ちょっとした隙間時間に取り組める
メリットがあります。

15分クロッキー
本番制作と同等くらいの大きさの
クロッキー帳で
形の起伏やディティールまで
描き込んでいけるので
描写力アップに効果的です。

 

ラフな具象画や細密画

具象画と抽象画とでは
描き込む量が違うので
当然所要時間も変わってきますよね。
具象画の中でもディティールは
ある程度省いてラフに描くものと
細密画とではまた所要時間も
変わってきます。

ラフに描く具象画であれば20時間前後
もしくはもっと早く仕上げることも
あります。
絵は時間をかけて密に描き込んでいくだけ
が全てではなく
ある部分は手を抜いて描き、
密な部分と粗い部分の両方を
作っていくことが
画面の心地良いバランスを生みます。

細密画であれば1ヶ月から半年など
長いスパンで取り組んでいきます。

 

アイデア重視の抽象画

抽象画は時間をかければ良しと
いうことではなく
アイデアや構成が大事ですよね。
一手を上手く決めるための緊張感が
大事だったりします。
画面の全体感を見ながら
心地良いバランスになった時点で
締めくくる必要があります。
制作時間は3時間前後くらいです。

 

まとめ

「描く目的」と「絵の表現」による
所要時間の違いを解説してきました。

趣味で描く方は
たっぷり時間を使う中でも
間延びして作品が悪くならないように
気をつけましょう。

上達を目指す方は
自分の課題や目指す表現によって
時間を効率よく使っていきましょう。
描き方だけでなく今回のように
「時間」も味方にしていくことで
良い作品を生むきっかけに
なっていきますよ。

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