油絵でリアルな青空と雲を描く | 分かりやすい製作工程

こんにちは、画家の落合です。
ふと空を見上げると季節や時間帯によって
表情が異なり、きれいですよね。空はずっとみていても
飽きない豊かな表情をしています。
空を見上げたり、絵に描いたりする
時間は癒しの時間になるでしょう。

実は「空や雲」はとても描きやすく、
簡単にリアルに見せることができます

今回は青空と雲を描く簡単なコツ
ご紹介していきます。

描く雲を決める!あなたの好きな雲は?

雲って色んな種類がありますよね。
すじ状のもの、うろこ雲、ひつじ雲、
入道雲、わた雲など。
私は個人的に入道雲やわた雲が好きです。
夏の空に広がる雄大さに惹かれるから
でしょうか。

ふだん空を見上げて気に入った形の雲が
あったら写真に撮ってストックしておく
いいと思います。
空は時間帯で表情が変わってしまうので、
写真を見ながらだと描きやすいです。

描く題材は自分の好きな形の雲でもいいですし
表現したいテーマを決めて
そのテーマの雰囲気に近い雲にしても
いいと思います。
たとえばこんな感じで連想してみましょう。

秋、清々しい、爽やか すじ雲
春、秋、うらさみしい うろこ雲、いわし雲
秋、無限 ひつじ雲
ぼんやり、幻想的おぼろ雲
不気味、不安、支配雨雲
夏、雄大、力強い 入道雲
青空、明るい、可愛いわた雲
ふわふわ、柔らかそう積雲

リアルな空のベースの作り方

空の色は
白、青を主体に空の色に応じて
ベージュなどを混ぜて作れます

オススメの色は

コバルトブルー
セルリアンブルー
バジターブルー
シルバーホワイト
ジョーンブリヤン

などです。

ブルーの色そのままで使うと青みが強すぎる
ので白などと混色して自然な色にしましょう。

絵の具の分量はキャンバスに塗った時に
筆跡があまり残らない程度にし
厚く塗りすぎないことがポイントです。
薄い層を何層も塗り重ねていくイメージです。
するとフラットで密度のある空のベースが
出来上がります。

塗り重ねる時は下の層が乾いてから
重ねましょう
乾く前に塗り重ねてしまうと
下の層の絵の具を削り取ってしまい
ムラが出来てしまいます。

絵の具が硬くて筆はこびが悪い時は
リンシードオイル
を少量だけ筆に含ませて絵の具を取ると
扱いやすくなります。
リンシードオイルは使いすぎると
乾燥しにくくなったり、
乾燥後に黄変することがあるので
使う量に注意しましょう。

平筆で塗った後に扇の形をした
ファン
という筆で絵の具など何もつけずに
画面を撫でると、筆跡がぼかされ
フラットに仕上がります。

乾燥時間を短縮したい方
速乾性メディウム
シッカチーフ(乾燥促進剤)
を使ってみてください。
ただし混ぜる分量に制限があります。
使いすぎると黄変やシワなどの副作用がある
ので注意しましょう。

リアルな雲の描き方

落合真由美 作品「Sleep on the clouds」

空のベースが完成したらいよいよ雲を
描いていきます。
雲は基本、白い絵の具の濃淡だけで
表現できます
雲を描く時もほんの少し筆にとり
うす〜くぼかして描いていきます。
アウトラインは描かずに極限まで絵の具を
ぼかすことでリアルな雲になります
密度のある部分は薄い層を何層も重ねて
描いていきます。

このぼかす技法を油絵では、
スフマート
と呼びます。
スフマートとは
自由に絵の具を伸ばしたり
ぼかしたりして煙のような繊細で
柔らかい色調を作る技法です。
輪郭線を強調せずにぼかすことで
リアルな雲の表現ができます。

また、
空の色のベースの上に雲を描いていくときに
使う技法を
スカンブル
と呼びます。
スカンブルとは
暗色の絵の具の層の上に不透明な明色を重ねる
技法です。
不透明色は薄く重ねることで
下層の色彩をぼかし、グレイッシュなトーン
を作ります。
ベースに塗っておいた空の色が雲の濃淡を
表現するのに活躍します。

この雲を描く工程でもリンシードオイルは
控えめに使いましょう。
使う筆は
序盤は平筆、終盤の細かい所は丸筆
と変えていくといいと思います。

白の濃淡だけではなく
雲の暗部を暗色で描き足す場合は
暗くし過ぎない様にしましょう。
空の色に使った色も混ぜると
自然な印象になります。

雲の絵にタイトルをつける

落合真由美 作品「前触れ」

 

落合真由美 作品「深奥」

完成したらぜひ絵にタイトルを
つけてみてください。
タイトルが思いつかないという方は
雲の形から連想する季節や感情、
雰囲気をタイトルにしてみても
いいと思います

例えばわたしは、
青空にずっと遠くまで続く沢山のわた雲
→「深奥」

雨が近づいている時に現れる、うろこ雲
→「前触れ」

青空にフワフワと浮く、
もし乗れたら心地よさそうな雲
→「Sleep on the clouds」

という感じでイメージを連想して
タイトルをつけています
タイトルを思案することは発想力や表現力、
自分の世界観を磨くことに繋がったりします
のでオススメです。

まとめ

空と雲の描き方を解説してきましたが、
いかがでしたか?
空と雲は扱う色が少なく割と描きやすいのに
表情豊かで画面映えするモチーフだと
思います。
また自然風景などを描く時、
背景の一部として空や雲を描く場面も
あるかと思いますので
ぜひ参考にしてみてください。

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