【油絵の特徴】実は油絵は描きやすい | 描画初心者にこそ油絵がオススメな理由

こんにちは、画家の落合真由美です。

私は普段、油絵を描いています。

私が感じる油絵の魅力は
ぼかした時の何とも言えない繊細なトーン、
色が混ざり合った時の複雑な発色、
独特の艶や透明感です。

これは他の画材にはない大きな特徴です。

油絵は難しく、
扱いにくいと思っている方が
多いように思います。

水彩絵の具やアクリル絵の具のように
水で溶いて描くスタイルが一般的で、
油絵もその延長で捉えているから
かもしれません。

油絵は絵の具が乾燥するまで
時間がかかるのが特徴です。

私は油絵を始めたての頃、
キャンバスにのせる絵の具の分量が
分からずに多くのせすぎてしまい、
乾かないまま更に塗り重ねることで
どんどん色が濁ってしまい、
よく困り果てていました。

「油絵って慣れるまで大変だなあ」
と思っていました。

しかし、それは油絵の特性を
よく理解していなかったからにすぎません。

「乾くまでに時間がかかるから
描き進めるのが大変…」
と思っていたのですが、

実際に何年も油絵を描き続けて
実感したことは、
その逆でした。
乾くまでたっぷり時間があるので、
絵の具を混ぜたり、
ぼかしたり、拭き取ったり、
納得のいくまで自由に画面を形成できる
のだと分かりました。

早くそれを分かっていたら
始めたての段階でも、
もっと楽しめたのかもしれません。

今回は油絵がもっと楽しくなる
「油絵の特徴」について
お話ししていきます。

油絵のはじまり

油絵の技法は
15世紀に画家のファン・エイク
が確立しました。

当時の油絵の具は
現代の油絵の具よりも
流動的で透明度が高いものでした。
そのため平滑な白亜下地の上に
何層も油絵の具を重ねて描くスタイル
でした。

暗部は深みのある色になり、
明部は輝きのある表現になります。

レオナルド・ダ・ヴィンチは
油絵の具の透明度に着目し、
対象の輪郭を煙のようにぼかし、
その調子の強弱によって
空間の遠近を表現しました。

やがて不透明な絵の具が登場するとともに
描き直しも簡単にできるようになりました。

明るい不透明な絵の具で
明部を強調した表現ができるようになり
絵画の表現もドラマティックに
変わっていったのです。

このように油絵の魅力は
「透明度」
描き直しが簡単にできる「柔軟さ」
にあります。

油絵の大きな2つの特徴

落合真由美 作品「Sky and green」

油絵の特徴は
独特な透明感がキレイなこと、
絵の具が柔軟で自由に扱えること
です。

絵の具の透明性で艶やかな発色
を楽しめます。

また、絵の具をのせたり取ったり、
伸ばしたり、乾くまでの間に
絵の具を動かすことで
トーンを作り込んでいくことができます。

でも扱い方を間違えると、
油絵の具の良さがなくなってしまうので、
どんな風に扱ったら良いか
このあと解説していきます。

油絵の具の魅力

 

落合真由美 作品 「Today’s swing」

 

 

透明感と不透明感の自由な表現

乾いた不透明色の上に透明色を重ねること
で鮮やかさを出したり、
形をしっかり描き起こすことができます。
不透明色と透明色を交互に重ねていき
徐々に完成させていきます。
一発で色を決める必要がないので、
失敗しても大丈夫です。
納得がいくまで重ねたり取ったりして
自分の色を試行錯誤して作ることが
できます。

 

絵の具の厚みを変えられる

下地の上に薄い層を何層も重ねて
繊細な色味を出したり、
絵の具をたっぷりのせて
敢えて凹凸のあるテクスチャーにしたり、
描いた筆跡をそのまま残したり、
自由に絵の具の層の厚みを形成できる
のが楽しいところです。

 

光沢感

艶と光沢があるのも油絵の特徴です。
油絵の具自体が油で練ってあるので、
画溶液を使用せず
チューブから出した絵の具を
そのまま使ってもキレイな光沢が出ます。
この油の自然な光沢によって、
透明感のあるみずみずしい表現、
艶やかで華やかさのある画面、
高級感のある画面に仕上がるのが
油絵の特徴です。

 

ぼかしの表現

油絵の具はほんの少しの量でも、
どこまでも絵の具を伸ばして
ぼかすことができます。
失敗してもぼかせば描き直すことも
簡単です。
乾くまでの間は自由に絵の具を動かせる
のがメリットです。
特に、ぼかした時の微細なトーンは
他の画材では出しにくい
独特のキレイさがあります。

 

 

油絵の具の扱い方

落合真由美 作品 「Today’s  green」

 

油絵の短所は
乾燥に時間がかかることです。

乾いていない層に塗り重ねるのは困難で
色も濁ってしまいます。

描きづらいなと思ったときに
無闇にいじるのではなく、
乾燥するまで待ったり、
絵の具を取ってみたりしましょう。
描きやすくするための
乾燥剤もあるので
乾燥剤も有効に使ってみるのも
オススメです。

乾燥剤によって
乾燥時間は短縮することができます。

この乾燥時間を操ることで
油絵は自分らしく描きやすくなります。

乾燥時間を短縮する方法は
いくつかあります。

 

絵の具を薄く塗る

薄い層を何層も重ねるイメージ
で描いていくと乾燥しやすくなり
描きやすくなります。
乾燥剤を何も使用せずに厚塗りすると
乾燥するのに数日かかってしまいます。
写実的に描きたい場合は
絵の具をじっくり乾かしながら
薄い層で描き込んで行くのが良いでしょう。

 

部屋の温度を上げる

部屋の温度が上がると
乾燥が促進されます。
冬は乾きにくいので
暖かい場所で制作・保管すると
乾燥促進になります。

 

シッカチーフを使用する

溶き油や絵の具に混ぜて使うと
乾燥を早めてくれます。
描き込みをする時に混ぜて使いやすい
液状の乾燥剤です。
できるだけ少量におさえて使うことが
ポイントです。
使いすぎると画面にシワができることが
あります。

 

速乾性メディウムを使用する

油絵の具に混ぜると乾燥時間を
大幅に短縮できます。
乾くのが早いので
描き込みの土台を作りたい時や
大きな色面を一気に塗りたい時などに
便利です。
乾いた時は絵の具の質感が変わるので
本来の油絵の具の風合いを
損いたくないときは
使いすぎないように注意しましょう。
プラスチックのようなテカリが出ます。

 

描画初心者に油絵がオススメな理由 | まとめ

落合真由美 作品 「Wind running on the course」

 

油絵の特徴と扱い方
をお伝えしてきました。

前提として
油絵は乾燥に時間がかかるので
じっくり時間をかけて描くつもりで
向き合うと楽しめます。

描画初心者に油絵がオススメな理由
をまとめるとこんな感じです。

 

①失敗しても描き直ししやすい

②納得のいくまで形や色を試行錯誤できる

③独特の光沢で風格のある画面になる

④ぼかすことで繊細なトーンが
簡単に作れる

⑤筆跡を残すような味わいのある表現が
簡単

⑥乾燥剤によって乾燥時間を操れる

ぜひ油絵の具の柔らかさや透明感を
活かして描いてみてください。
描きやすくなりますし、
素敵な作品になりますよ。

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