絵が上達する練習方法や向き合い方とは?つまづいた時や悩んだ時に絶対にやるべきこと

こんにちは、画家の落合真由美です。
絵を楽しんで描いていますか?
絵は上手いか下手かで好き嫌い、
楽しい辛いにハッキリ別れがち
だと思います。

自分のイメージを自在に表現したり、
見たものを忠実に再現したり、
絵を描く人なら誰でも
「もっと上手くなりたい」
と思うのが常でしょう。

私が20年以上絵を描いてきて思うのは、
絵の難しさは細かく描くことにあるのでは
なく全体感を見ることにあるのだ
ということです。

私は絵を始めたての頃は
どれだけ細かい所まで観察できて
描き込めるかにこだわっていました。
上手い絵の模写をする時でも
細部の描き込みを真似してみたり
していました。

でも何処か不自然になってしまったり、
やり口が先行してしまい
画面に破綻が起きていたのです。

そこで今回は絵を描くにあたって
効率よく上達していくための道筋
を私の経験も踏まえて
お話ししていきます。

効果の出るオススメの練習法

絵を描くことは対象の全体感を捉えること
なので、対象全体のバランスを見る力
を鍛えることが上達の近道になります。

オススメの練習方法3つあります。

①クロッキー
②木炭デッサン
③模写

 

①クロッキー

15分程度のクロッキーを何枚もこなす
イメージです。
15分くらいである程度作品として
まとまる様に仕上げる
集中力や見る目が鍛えられていきます。
人物のクロッキーが勉強になりますが
日常風景などでも大丈夫です。
細かい所は気にせずに
形の変わり目や明暗の変化を
大きくポイントで見て描いていきます

 

②木炭デッサン

木炭デッサンは描写力で必要な
「全体像を見る力」
が鍛えられる画材です。
木炭を載せたり、定着させたり、
取ったり、大きな見方で形の土台を
構築していくものだからです。
木炭デッサンは、主に油絵科や彫刻科の
受験時に学ぶ画材ですが、
デザイン科や工芸科、日本画科を
志す方にも描写力アップのために
経験して欲しい画材です。

 

③模写

模写は対象の見るべきポイントを
二次元に落とし込んでくれているので、
どこをどうやって描けば
リアリティが出るのか、
魅力的に映るのか、
とても勉強になります。
模写すべき画家は
以下の2パターンでチョイスすると
いいと思います。

 

【描写力アップのための模写】

私がオススメの画家はこちらです。
細かい描写をじっくり時間をかけて
模写するのも悪くないですが、
ぜひ15分くらいのクロッキー感覚
細かい所は気にせず、
画面全体の構成を模写してみてください。
明暗の関係性を見る力が鍛えられます。

 

レンブラント

人物の立体的な表現を含め、
暗部を魅力的に見せる構成が上手いです。
画面にどんなバランスで
暗部の黒を配置しているか
画面構成を見てみましょう。

 

ルーベンス

人物を触覚的に捉えることで、
顔や身体の筋肉の形の凹凸や量感を
忠実に再現しています。
人物描写の基礎が学べます。

 

フェルメール

光と影の表現がとても綺麗です。
人物にスポットライトの様な強い光を当て
画面をドラマチックに仕立てています。
光と影を駆使した形の描き方
すぐに実践できる手法です。

 

ドガ

人物の身体の滑らかさや動きを
抜け感のある自然なタッチで
表現しています。
力の粗密がとても上手いです。
細かく描き込まなくても、
色面の組み合わせや柔らかな線描、
的確な陰影を置くことで、
人物の全体像をリアルに表現しています。
少ない手数でリアルに見せる手法
とても勉強になります。

 

アントニオ・ロペス

風景や静物を豊かなハーフトーンで
立体的に魅せています。
細かく描かなくても的確な色味の色面構成
により成立しています。
ハーフトーンの色幅の豊かさ
ぜひ真似してみてください。

 

バーナード・フュークス

ハーフトーンやダークトーンのベースに
白抜きした様に明部の形を描いています。
三次元の対象を二次元に落とし込む技術が
的確です。
煩雑な対象でも単純化して
大きく捉える見方
ぜひ取り入れて欲しいです。

 

【表現力アップのための模写】

自分と近い画風を持つ画家の作品を
模写してみることで
表現力のアップに繋がります。

表現力とは一概に描き込んで魅せる
ということではなく、
主題の魅せ方、斬新な構図、力の抜き方、
素材を活かした筆致、色遣い
など様々です。

模写をすることによりその引き出しを
増やすことができ、
面白味のある自分らしい画風を
見出すきっかけになるでしょう。

全く自分の画風が確立していなくても、

テーマ・構図・色遣い・タッチ・雰囲気を
見て気に入った作品をチョイスすれば
大丈夫です。

オリジナリティーを出すにも、
まずは真似することから始まるので、
お気に入りの作品ストックを作って
模写することで製作テーマの
ヒントにしていきましょう。

上達に早く近づく考え方・観察の仕方

私自身、かつて美大受験のため
デッサンの猛勉強をしていた頃、
上達したなと実感できたタイミングは
以下の3つのポイントを攻略できた
と感じられた時です。
この3つは特に意識して欲しいと思います。

 

①大きく関係性を見る

モチーフと自分の画面を
常に俯瞰して見ることです。
何度も離れた位置から自分の画面をみて
バランスを調整していきましょう。

デッサンはある程度一箇所を
集中して描き進めるため、
どうしても部分的な見方に
なってしまいがちです。

ですが、私達が普段何かを見るときは
全体像を見てそれが何かを
認識しています。
いつものモノの見方と
デッサン時のモノの見方に
ズレが生じていては
リアルには近づけません。
大きく全体の関係性を見る様に
意識することです。

 

②触覚的な見方をする

どうしても輪郭線や
ぱっと見て分かりやすい表情ばかり
描きがちですが、
難しいのは
目で見てもすぐには分からない形の凹凸
です。
描き込まなければ
平面的なモノに見えてしまいます。

時には形の凹凸を強調して描くことも
必要なのです。
モチーフを横から見たり裏から見たり
360度色々な方向から見て形の凹凸を捉え、
手で触る様に筆跡に残していくことです。

 

③形の量感を捉える見方をする

絵のリアリティーが決まるのは
描かれているモチーフの存在感
感じられるかどうかだと思います。

モチーフの質感や重さまで伝わる様な
稜線(形の変わり目)、影を
的確に描いていくといいと思います。

 

この3つを意識することで
自然と表現できるトーンの幅が増えていき
リアリティーのある豊かな画面に
なっていくと思います。
上手い絵と拙い絵の差は
ハーフトーンの色幅に出ます
「ハーフトーンを増やしましょう」
と言われても、
どうしたら増やせるのか
難しいところですが、
この視点で取り組むと良いでしょう。

取り組み過程を記録して上達しよう

上達したいと言っても
独りでできることではありません。
自分の作品を客観的に
フィードバックしてもらうことが必要です。

自分の課題を知らずに闇雲に取り組んでも
効果は出ませんよね。
自分の見方や描き方の癖が誰しもあるので
得意不得意が出てきます。
取り組んで見出せた自分の得意項目や
課題を日々記録していくことが
早い上達につながります。

まとめ

絵の上達には描写力表現力
二つの軸が必要です。
描写力がないと自分のイメージ通りの
世界観を表現できませんし、
表現力がないと他者との差別化が図れず
ありきたりな作品になってしまいます。

今回挙げた取り組み例を
ぜひ参考にしてみてくださいね。

描写力はポイントを押さえて取り組めば
必ず早く上達します。
表現力は日頃のイマジネーション
大切です。
自分の理想とする完成イメージ、
方向性を頭の中で想像するだけでも
表現力は高まります。
そして、いかに他人と違うことをするか?
も意識してみてください。
他者との差別化、自分らしさ
に繋がっていきます。

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