こんにちは、画家の落合真由美です。
絵を描くときに、何を描くか?
どんなテーマで描くか?
どんなふうに描くか?
など描きたいものを考えることと思います。
「何を描くか?」というのは
絵を描く上で常につきまとう問題です。
何を描くかによって絵の進めやすさも、
描くときのモチベーションも、絵の完成度も
自分の技術の成長スピードも
まったく変わってくるものです。
だからこそ何を描くべきか迷ってしまいます。
ご自身の目的やレベルに合わせた
モチーフ選びをし、楽しみながら技術を
習得していったり、描きごたえを感じながら
進めていけるように今回は
「初心者が挑戦しやすい絵のモチーフ」
についてお話ししていきます。
またモチーフの選び方によって
描写の進め方や身につく力も
変わってくることから
向き合う課題や身につけたい力別に
オススメのモチーフもご紹介します。
目次
絵画初心者のモチーフ選びのポイント

モチーフ選びをするときは
明暗が見やすいかどうかが
最大のポイントです。
平たいものやツルツルした質感のものは
明暗の差が出にくく、描くポイントを
見つけづらいのが難点です。
基本的には工業製品以外の自然物が
初心者にとっては描きやすいでしょう。
しかし大前提として興味のあるもの、
好きなものを描くことが魅力的な作品に
繋がります。
一般的に描きやすいモチーフを選ぶことで
基礎に向き合うことが出来ますが
描いていて「つまらない」と感じたら
自分の思うがままに好きなモチーフを
描くことが一番です。
絵画初心者に向いているモチーフ

初心者にはあまり難易度の高くない
描きやすいモチーフやじっくり時間をかけて
観察できるモチーフが向いています。
色々なモチーフの中でも静物や風景は
対象が動かないのでじっくり観察でき
初心者にオススメのモチーフです。
果物や野菜、花など身近にあるものを
選びましょう。
果物は球体で形態を捉えやすく
陰影を観察しやすいので
気軽に取り入れやすいモチーフです。
りんご、オレンジ、梨、レモンなどは
形態がシンプルで描きやすいです。
慣れてきたら
パイナップル、ザクロ、ライチなど
描きごたえのあるものを選んでも
楽しいでしょう。
野菜では
かぼちゃ、玉ねぎ、カブ、パプリカ、大根、
ネギなどがオーソドックスです。
花では花びらが大きいものが描きやすい
でしょう。
また生花はしおれるので初心者には
じっくり観察でき、何度も挑戦できる造花が
向いています。
チューリップ、コスモス、ひまわり、
ペチュニア、ユリなどが描きやすいでしょう。

風景は形を正確に捉えずとも
雰囲気のある作品にしやすいモチーフです。
建物が入った風景よりも自然風景が
描きやすいでしょう。
自然風景は描く時間帯によって太陽の
当たり方が違いますし天気によっても
見え方が変わってきます。
描く時間帯を決めたり、写真に収めておく
のも良いでしょう。

また自然風景は同じ様な表情が広がっている
ものなので描くポイント(主役)を
しっかり決めることが大切です。
漫然と描いていると平坦で見どころのない
画面になってしまいがちです。
何を魅せたいか、自分が風景を見て
感動したポイントを決めて描くと
良いでしょう。
夕日に染まる自然を劇的に捉えたい、
山と川の質感の対比を表現したい、
川などの水面に映る木々の表情を
繊細に捉えたい、
空と山のコントラストを力強く表現したい
など見せ場を作ると
素敵な風景画になります。
形を捉える力がつくモチーフ

形態を正確に描く課題に向き合うなら
幾何形態や工業製品、陶器などが
オススメです。
形の捉え方が狂っていたらすぐに分かる
モチーフなのでしっかり形を測りながら
進めることができ形態の正確な描写力が
鍛えられます。
デスケル(枠の中に均等に分割した線が
引かれていて構図を決定しやすくする
プラスチック製の透視枠)を使ったり
はかり棒で形の比率、周りとの大きさや
奥行きの関係性を捉えていきます。
陰影を観察しやすいモチーフ

陰影をしっかり観察して描き分ける力を
つけたいなら白いモチーフがオススメです。
モノを立体的に描くには一番明るいトーン
から一番暗いトーンまで幅広いトーンで
表現していく必要があります。
白いモチーフだとトーンの幅を観察しやすく
なります。
明るくも暗くもない中間のトーンを
ハーフトーンと呼びますが、
このハーフトーンの幅をどれだけ豊かに
表現できるかが上達のポイントです。
白いモチーフはハーフトーンの観察が
しやすくなり陰影表現の描写力アップに
繋がります。
卵、白い布、紙コップ、トイレットペーパー、
石膏像などです。
人体の描写

人体描写を学びたいときは
手や自画像、人物画などの題材を選びます。
人体の構造はとても複雑でよく観察すると
想像以上にいびつで意外な形をしています。
人物画は難しいモチーフのひとつですが
手や自画像など部分的に絞って題材にすると
難易度が下がり挑戦しやすいです。
細密描写にオススメのモチーフ

基礎的なモチーフをこなして慣れてきたら
細密描写に取り組んでみても楽しいでしょう。
没頭することができ集中力もつきます。
形態をしっかり捉えてから、表面の質感や
模様に取り組んでいきます。
描きごたえがあるモチーフを選びましょう。
クルミ、ザクロ、松ぼっくり、スニーカー、
貝殻などは表面の表情が豊かで密度があり
描きごたえがあります。
絵を描くときのモチーフの組み方

描くモチーフを決めたらモチーフを
セッティングしますがセッティングするとき
のモチーフの組み方によって
描きやすさも作品の出来も変わってきます。
モチーフをセッティングするときは
光の当たり方、影の落ち方が
キレイに見える位置関係を作ることが
とても重要です。
光と影の割合は6:4が理想的で
描きやすいです。
光源からモチーフまで光がキレイに
届いていてモチーフの質感が
よく見えているか、
影が自然にキレイに落ちているか、
心地よい光の当たり方を探って
この光の当たり方がかっこいいなあ、
キレイだなあとか好きな見え方を探って
モチーフを設置しましょう。
背景も大事です。
モチーフが引き立つ様に白い背景もしくは
落ち着いた色の無地の背景を
セッティングすると良いでしょう。
色の見え方は相対的なので
背景を何色にするかによって
主題となるモチーフの色の見え方が
変わります。
モチーフを設置して描き始めたら、
背景はアレンジせずそっくりそのまま
描き写すことをオススメします。
モチーフは見たままを描いているのに
背景だけ自分のアレンジで描くと
モチーフと背景の関係性が崩れ
破綻が起きやすくなります。
初心者にとって全体感の調整は
難しいことなので背景も含め、
キレイにモチーフをセッティングして
そっくりそのまま描くのが良いでしょう。
まとめ

初心者が挑戦しやすいモチーフについて
解説してきました。
モチーフきっかけで自分の「得意」や
「好き」が分かったり、成長の起点に
なったりします。
いきなり難しいモチーフを描いて必要以上に
自信をなくすことのないように、
自分のレベルや課題に合わせて
モチーフを選ぶことは大切です。
モチーフの特徴や描き上げるための
攻略ポイントをしっかり理解することが
必要です。
ぜひモチーフ選びの参考にしてみてください。
















