鉛筆でリアルな絵を描く | 鉛筆の使い方とテクニックだけに陥らない描き方

こんにちは、画家の落合真由美です。

今回のテーマは鉛筆画です。

鉛筆でリアルな絵を描くための
コツやテクニックについて
お話ししていこうと思います。

鉛筆をもっと上手に使えるように
なりたくて技法書を見たり、
上手い作品の描き方を真似してみたことが
あるかと思います思います。

絵を描くには
もちろんテクニックが必要ですが
テクニックだけに執着してしまうと
観察が疎かになり
上手くいかないことも多いのです。

そこで今回はテクニックだけに陥らずに
しっかりとリアルな描画ができることを
目指して解説していきます。

リアルな鉛筆画を描く為の心構え

まずは道具をしっかり揃えること、
鉛筆を正しく削り
常にきれいに尖らせておくことが前提です。

 

鉛筆画に必要な道具などについては
こちらで解説しています。

 https://oilartwork.net/pencil-drawing ‎

 

また絵を描くにあたっての
基本的な向き合い方についても
こちらで解説しています。

 https://oilartwork.net/drawing-2 ‎

 

鉛筆画は
画用紙に鉛筆をのせていく行為です。
鉛筆の削り方や筆圧
鉛筆の硬さのチョイス
鉛筆の画用紙への当て方
作品の出来を左右します。

これらが上手くいくと描いていて
鉛筆が画用紙にしっかりのっていく感じが
するものです。
そうなると自然と観察することに
集中出来ます。

鉛筆を上手く扱うのと
的確な観察をするのとは別問題です。

しかしスランプに陥ったとき、
鉛筆を使いこなすのも観察も
両方上手くいかずに
何が問題なのか自分で気づくことができず、
なかなかスランプから脱せないことが
あります。

たとえば鉛筆に慣れて
しっかり使いこなせるようになったとき、
対象を観察することに
集中できるようになり
急に上達することがあります。

まずは道具を使いこなすことが
リアルな鉛筆画への近道です。

鉛筆の素材を活かしながら
観察に没頭できる感覚、
目で見たものが
そのまま手の動きに反映されていく感覚、
それは描いていて
目と手が一体になる不思議な感覚です。

 

鉛筆を使いこなす

鉛筆の黒鉛の色が画用紙に馴染まず
浮いて見えたり、
描いている対象の色ではなく
鉛筆の黒鉛の色に見えてしまうことが
あります。
鉛筆がまだ使いこなせていない状態です。

鉛筆を使いこなすために
押さえておくべきテクニックがあるので
いくつかご紹介します。

 

H系の鉛筆を駆使する

H系の鉛筆は
マットで繊細なトーンを作るのに
ぴったりです。
画用紙の紙の目を埋めるように
密度のあるトーンを作ることができるのと
同時にトーンが強くなりすぎずに
自然なトーンになります。

 

塗りムラを抑える

塗りムラがあると
不自然な陰影に見えてしまい
描写に支障をきたします。
一つの面を均一に塗りたい時には
鉛筆の側面を使って塗っていきましょう。
そのためには、
均一に鉛筆を削ることです。
芯を2センチくらい出して
芯の周りの木の部分も
画用紙に当たらない様になだらかに削り、
芯の部分はヤスリをかけて仕上げます。
また、塗る際の力の入れ方もポイントです。
画用紙に鉛筆を当てる力を一定にするには
手の動かし方が大事になってきます。
大きな面を一気に塗る時は
脇を締めて肘あるいは手首を支点にして
手を一定の力で左右に動かします。
ある程度鉛筆がのってきたら
ティッシュで軽く撫でると
黒鉛が画用紙に馴染んでくれます。
さらにその上からまた鉛筆を
のせていくことでムラなく画面にハマる
トーンを生み出すことができます。

 

キワをキレイに決める

鉛筆画で作品のクオリティーを上げ、
上手く見せるには
モチーフの際(キワ)の処理を
キレイに行っていくことが大事です。
キワには色々な表情があり、
対象の存在感を示す重要な手がかりと
なります。
輪郭線を単調に強調するだけでは
平面的な画面になってしまいます。
キワの表情はシャープなのか、
画面の他の部分に比べて
どのくらいの強さのキワなのか、
回り込む感じなのか、
ぼんやりしてるのか
見極めて描いていきます。
キワの表情がぼんやりしていているからと
いって描かないのではなく
3Hなどの硬い鉛筆でしっかり描いて
弱く見せていきます。
キワを決める時は芯先をシャープに
指先に力を集中させていきます。

 

密度を高める

鉛筆画は描写を重ねて
密度を出していくことで完成させる
プラスの作業の描画です。
だからと言って闇雲に鉛筆をのせすぎると
テカテカ黒光りしてしまいます。
密度を出すときのポイントは
紙の目を意識して鉛筆をのせていくこと
です。
重ね塗りする時は
例えば3Bで柔らかくトーンをつけた後に
2Hで隙間を埋めるように
密度を上げていきます。
あえてザラっとした質感や
乾いた感じの質感を表現したい時は
3Bの側面で軽くトーンをつけるだけで
仕上げたりもします。
鉛筆は細かく描けるところが特長なので
主役や見せ場になる部分は
しっかりB系の鉛筆を尖らせて
細かく描いていくことが大切です。

 

ぼかし技法

画用紙にある程度鉛筆でトーンをのせたら
ティッシュで軽くひと撫でして
ぼかす技法があります。
ぼかしを入れることで様々なメリットが
あります。
繊細なトーンが作れる、
筆跡がなくなりリアリティが出てくる、
ハーフトーンが増えて佇まいが自然になる、
黒鉛が画用紙に定着し
次のトーンがのせやすくなるなどです。
ただしティッシュで擦りすぎると
紙の目が潰れて傷んでしまい
描きづらくなってしまいますので
注意しましょう。

 

観察力を上げる

鉛筆に慣れて技法を身につけていくのとは
別に観察力を上げるという本質を
忘れてはいけません。

技法だけが先行してしまうと
リアリティーのない不自然な画面に
なってしまいます。
技法も観察力もどちらか一方ではなく
同時に意識することで
身についていくものです。

観察力と言っても漠然としているので、
具体的に取り組むといいことを
挙げてみます。

 

ハーフトーンを増やす

ハーフトーンとは
黒と白を繋ぐ中間の色調です。
ハーフトーンの色幅が豊かなほど
画面に奥行きや立体感が出て
リアルな絵になります。
ハーフトーンを簡単に作るには
FやH、2Hあたりの硬さの鉛筆を使うと
無理なく自然に出しやすいでしょう。

 

画面に的確な黒を入れる

技法が先行して見えてしまう理由の一つに
ヴァルールが合っていないことが
挙げられます。
ヴァルールとは色の価値のことです。
「ヴァルールが合っている」を
やさしく言い換えると
「色が画面にはまって、
対象そのものに自然に見えている状態」
を指します。
色の見え方は相対的なものなので、
ヴァルールを整えるには
画面全体を見ながら色の濃淡を
調整していく必要があります。
画面を見る力は経験を重ねることで
自然と身についていくものですが
難しく考える必要はありません。
画面に入る黒(強い暗部)の形や強さが
カッコよく決まっていれば
その後は何とかなるものです。
モチーフの固有色に惑わされずに、
近いものは強く見える、
遠いものは弱く見える、
暗部の周りが明るければ
対比でより暗く見える
ということを意識しながら
暗部のトーンを作っていきましょう。
例えば画面に二人の人物を描くとします。
黒い服を着た人が奥に、
白い服を着た人が手前にいる構図です。
白い服の人物に落ちる影は
奥の黒い服の人物よりも
強い黒だったりします。
手前の位置に来ていること、
服の白と影の黒との対比をしているため
です。
ある部分を描くとき、
その部分だけを見て
それぞれ描き進めていっても
それぞれの明暗の度合いが
チグハグな画面になってしまいます。
全体のバランスを見ながら描き進めるのは
難しいですが、
描き始める段階で
何処が一番強い黒なのか?
二番目は?
三番目は?
と黒の見せ方を計画してから
描き進めると良いでしょう。

 

画面に見せ場をつくる

リアルな鉛筆画の醍醐味は
細かく描き込んだ見せ場をつくることです。
リアルに仕上げるポイントは
画面全体を描き込むのではなく
主役を決めて主役を
思い切り細かく描き込んでいくことです。
画面全体を細かく描き込んでしまうと
色々な場所にピントが合っている状態
になり不自然な画面になってしまいます。
主役の部分はB系の鉛筆を尖らせて
鉛筆を立ててカリカリと鮮明に
描いていきます。
明暗部分やキワ部分を強調して描くと
鉛筆の良さが出てきます。

 

まとめ

リアルな鉛筆画のための鉛筆の使い方、
テクニックだけに陥らないアプローチ
についてお伝えしてきました。

経験を積むとモチーフの特徴にに合わせて
鉛筆の使い方も変えられるようになります。

しっかりモチーフを見つめて、
鉛筆ならではの密度のあるクリアな描写
で捉えていきましょう。

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